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かんとこうブログ

2021.12.24

ファイザーの新薬パクスロピドについて

一昨日アメリカのFDAがコロナ感染症の治療薬としてファイザー製薬のパクスピロドを緊急使用を許可したというニュースがありました。これまで先行していたメルクのモルヌピラビルも緊急使用申請をしていましたが、まだ許可がでておらず、服用薬としてはこのパクスロピドがアメリカで初めての許可薬となります。重症化防止効果はなかなか優れたもののようです。今日はこのパクスロイドについてご紹介します。なお、日本ではモルヌピラビルの申請が先行しており近々承認がおりそうと予測されていますが、パクスロピドは未申請であり近々申請が行われる予定だそうです。

本日の内容は、すべて「りんブログ」(下記url)から引用させていただきました。知りたいことがすべて書いてありました。感謝申し上げます。青字部分が引用部分です。

https://www.lynn-pharma.com/pharmacist-news/2021/11/07/paxlovid/

このパクスロピドは、プロテアーゼ阻害薬である「 PF-07321332」とHIVの治療薬として承認されている、リトナビルという薬の合剤(二つの薬を同時に使用)です。現在、日本を含む国際共同第相試験を実施中で、対象は予防、軽症~中等症(第相)となっています。

Wikipediaより引用

PF-07321332 の作用機序 

上記図をもとに、コロナウイルスがヒトの体内で増殖する過程を大まかにわけると次の通りです。
1.     体内に侵入後、ヒト細胞膜にスパイクタンパクでくっつき、ウイルスRNAが侵入する
2.     ウイルスRNAをヒト細胞内のタンパク質合成装置(リポソーム)で翻訳し、複数のウイルスタンパク質つながったものが作られる
3.     複数の繋がったウイルスタンパク質の中にタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)があり、必要な部分に切り分けられる
4.     作られたタンパク質のうちRNAポリメラーゼがウイルスRNAを複製し、増殖する
5.     増殖したウイルスは細胞外へ放出され、さらに増殖する。

PF-07321332は上記の3の部分のタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を阻害します。新型コロナウイルスのタンパク質分解酵素は「3CLプロテアーゼ」というもので、 PF-07321332 はこの3CLプロテアーゼという酵素を阻害することで、複数の繋がったウイルスタンパク質の切断ができず、結果ウイルスの増殖を防ぐようです。」

あえて追加説明は不要かと思いますが、ウイルスが細胞内に侵入し、増殖する際に複数のたんぱく質が繋がった形で複製され、それを酵素で切り分けて増殖していくのだが、この薬は切り分ける酵素の働きを阻害するため、ウイルスは増殖することができなくなる、ということのようです。なおメルクのモルヌピラビルの場合には上記増殖過程の4,ウイルスRNAの増殖を阻害する作用機序であり、パクスロピドとは異なるとのこと。しかしいずれの場合も、ワクチンとは異なり、変異株に対する効果は期待できるようです。

それでは、合剤のもうひとつの成分であるリトナビルはどのような働きをするのでしょうか?これも「りんブログ」から引用させてもらいます。

リトナビルの作用機序

リトナビルは薬というよりは、「リトナビルブースト」という、併用する薬剤の効果の増強を期待して加えられているようです。リトナビルのWikipediaには次の記載がありました。

リトナビルは、元々はHIVプロテアーゼ阻害薬として開発された。2015年では、抗ウイルス活性を期待して用いることは稀で、他のプロテアーゼ阻害薬の効果増強を目的に併用される。具体的には、リトナビルは患者の肝臓でのCYP3A4によるプロテアーゼ阻害薬代謝を阻害するため、低用量のリトナビルは他のプロテアーゼ阻害薬の効果を増強する。これは1997年に発見されたもので、プロテアーゼ阻害薬およびHAART療法の副作用が大幅に減少した。この効果は他の様々な医薬品の効果にも影響を与えるが、その大きさを正確に予測することは困難である。リトナビル – Wikipedia 作用機序より

臨床試験結果

治験の詳細は省略させてもらいましたが、パクスロピド投与群が、偽薬投与群に比べて入院率、死亡率が顕著の低いことは明らかです。また安全性の観点からも治療上の緊急有害事象についても、重篤な有害事象、有害事象による投薬の中止も偽薬投与群と比較してむしろ少なかったということでした。

この結果、新型コロナウイルスに感染してから5日以内にパクスロビドを服用することで、入院や重症化、死亡リスクが89%低下したとしています。

この結果を見るとメルクのモルヌピラビルよりも有効性が高いようにも思われます。コロナがインフルエンザ並みになる条件として、一般医から処方される有効な服用薬の使用があると思われますが、現時点では、このファイザーのパクスピロドがそうした有効な服用薬に対して最も近い位置にあるのではないかと思いました。

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