お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2024.07.10

ウナギの人口種苗生産技術の現状

水産庁から「ウナギ種苗の商業化に向けた大量生産システムの実証事業 2017~2023年度における成果概要」というものが発表されました。6年間におよぶウナギの大量生産にむけての研究成果をまとめたもので、これまでの人工種苗に比べて大幅なコストダウンができたとメディアで報じらています。一体どんなことを研究してどのような成果がったのか水産庁の報告者(下記接続先)から引用してご紹介したいと思います。

PowerPoint プレゼンテーション (maff.go.jp)

良く知られているようにウナギは大変に広い範囲を回遊しており、その生活史は十分に解明されていません。

ウナギは日本の河川などで生活したあと、2000Kmも離れたマリアナ諸島付近で産卵し、卵からふ化したあと海流などで運ばれる過程でシラスへと成長し日本の河川や沿岸域にもどってくると説明されていますが、その途中(上図点線部分)についてはよくわかっていないとされています。近年シラスの不漁(下の左図)が報じられており、必然的に価格が上昇(下の右図)しているとされています。下図の二ホンウナギ人口種苗生産技術の必要性をご覧ください。

ここで言う人工種苗とは産卵~仔魚~シラスまでのすべての段階を人工的行うことであり、大量生産と安定供給をめざすものとされています。

具体的な研究項目は以下の5つであり、項目別にその進捗概要を水産庁資料からまとめてみました。

真ん中の列の最新の成果という黄色い欄を見ていただきますと、研究内容として「受精卵を得てふ化仔魚の通年供給が可能となり、仔魚を成長させるための安価で優れた飼料を開発し、大量に飼育するための水槽や給餌システムも改良とコストダウンを図り、さらにはより効率的な生産のために遺伝子選抜も行っている」ようです。つまり、コストの件は別として、技術的にウナギに産卵させてふ化し、それを仔魚~シラスまでに育てることはできるようになったということです。コストについてもコストダウンがかなり検討されてきたようですが、実際どういったレベルなのでしょうか?

現在は養殖に使用されているシラスはすべて天然物であり、そのコストは種苗ウナギ1尾あたり180円から600円程度であるとのことです。これに対し人工種苗シラスのコストは研究当初1尾40000円を超えていました。それが最新の数値では、1800円程度まで下がったとされています。一方、水産庁の目標は2025年までに人工種苗率を100%としています。つまり天然ものを使わずに人口種苗ですべて賄うようにしたいというのが目標です。

その目標の成否は、まさにコストダウンにかかっているということになります。一方で天然シラスのコストもその希少性が上がればさらにコストも上がると考えられることから、人工種苗研究への期待は高いと言えるのではないでしょうか?

コメント

コメントフォーム

To top