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かんとこうブログ

2024.07.29

トップ交代ですが・・Coatings World誌のランキング

毎年ご紹介しているCoatings World誌の世界の塗料製造会社のランキングですが、今年の発表は昨年の8月1日から早まり7月23日に発表されていました(下記接続先)。このところ年々遅くなってきていたので、今年も8月に入ってからかと油断をしていました。それはともかく、今年のランキングとその解析結果を今日と明日の2日間でご紹介していきたいと思います。

Top manufacturers of paints, coatings, adhesives, and sealants in 2024 | Coatings World

毎年同じことを書いていますが、これをご紹介する理由は、①これがほぼ唯一の世界ランキングであること②上場会社以外の会社の売上金額もわかる貴重な資料であること③このランキングを通じて世界の市場動向の一端を垣間見れることです。Coatings World誌が総力を挙げてリストアップした年間売上1億$以上の会社のランキングです。

まず今年ランキングに名前の載った会社の数ですが、昨年の73社から4社増えて77社となりました。昨年リストに載りながら今年名前の消えた会社は4社、常連のKelly-Mooreは事業停止、WeilburgerとShawcorは買収され、Tohpeは為替の関係か売上が1億ドルに達しませんでした。

一方で新たにランクインした会社は7社で、アメリカ2社、インド2社、南米2社、フランス1社でした。インドが2社といことからはインド市場の高成長ぶりがうかがえるようです。ただ、全体としてはランク入りする会社の数は減少傾向にあり(下の右図)、この背景には大手企業による積極的なM&Aがあります。

世界のTOP30についてグラフ化してみました。上が2023年、下が2022年です。TOP10の中では1位と2位が入れ替わった以外に順位の変動はありません。また売上金額もあまり変わらないように見えます。後述しますが、実際細かくみても売上金額はほとんど増加していません。これは2023年において必ずしも市場が堅調でなかったことを示していると思われます。

赤棒で示したのは日本企業です。日本ペイントホールディングス、関西ペイント、中国塗料、エスケー化研の4社がTOP30に残り、大日本塗料が前年の26位から大幅に順位を落とし49位となりました。

ランク入りした全ての会社の売上金額と前年からの順位変動を下表に示します。

1位と2位は僅差で入れ替わりました。売上金額そのものではSherwin Williamsの方が圧倒的に上なのですが、同社が塗料以外の塗装用具なども販売しているため、毎年Coatings World誌が塗料以外の売上を除外してランキングを作成しており、昨年まではPPGの後塵を拝していました。言ってみればCoatings World誌の匙加減で決まるので来年がどうなるのかわかりません。赤字で示した日本企業の中では大日本塗料の順位が大きく下がりました。このことについてはあとで詳しく述べます。日本企業全般向としては順位を落としている会社が多くなりましたが、為替を考えるとやむをえないと思われます。

日本企業について、公表されている日本円での売上金額を会計年度最終日の円ドルレートでドル換算し、Coatings World誌の数字と比較してみました。関西ペイントと大日本塗料では日本円決算からの換算値に比べて2億ドル以上低い金額になっていました。

Coatings World誌の計算根拠はそれなりにあるのだと思いますが、関西ペイントはともかく大日本塗料がここまで低くなる理由がわかりません。もし大日本塗料の売上を日本円からの換算値である476百万ドルと仮定すれば、今年の順位は32位となります。いずれにせよ日本企業は為替の影響でランキングが下がってしまったことは間違いありません。

以上がランキングから直接わかることです。明日は、解析してみてわかったことをご紹介します。

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