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かんとこうブログ

2024.08.02

世界のTOP3の2024年第2四半期決算

2024年の第1四半期については従来のTOP3に日本ペイントホールディングスを加えてTOP4として決算結果をご紹介しましたが、日本ペイントホールディングスの発表は8月に入ってからなので、ひとまずTOP3の決算だけをご紹介したいと思います。一昨日までのCoatings World誌のランキングに敬意を表して、そのランキング順にご紹介することにします。

Sherwin Williamsの全体および事業分野別の第2四半期と第1上半期(第1+第2四半期)の結果です。全体の利益を表す数値は税引き前利益を使いましたが、部門利益の合計とは一致しませんのでこの指標は別なものです。ただ前年との比較指標には使用できると思います。

相変わらず北南米4000店の直営店によるペイント店グループはしぶとく小幅ながら増収増益でした。これに比べるといつも苦戦を強いられている消費者用ブランドグループは、二桁減収となってしまいました。が、しかし、なんと利益は大幅増となっています。不可解です。旧バルスパーの機能性塗料グループもしぶとく微増数大幅増益なりました。木工やPCM用が堅調だったようです。全体を一言で言えば、微増収大幅増益となるでしょうか?

続いてPPGです。

PPGは全体として微減収微増益となりました。微減収となった原因は工業用途が軟調であったことで、第3四半期もこの傾向は変わらないようです。一方の建築用途も水面ぎりぎりに顔を出した状態で、第1第2四半期の合計ではわずかながら前年比がマイナスになっています。これらの理由は工業用特に自動車新車用の需要低迷と建築ではEMEAの不振によるものですが、第3四半期では少しは改善されるとみているようです。(上の右表)

最後にAkzoNobelです。

AkzoNobelは全体として微増収微増益となりました。第2四半期では東南アジア以外の建築用(Pants)が振るいませんでしたが、第3四半期は全般的に回復し、減収となる分野がないと予想しているようです。AkzoNobelはいつも興味深いグラフを載せてくれているのですが、今回も興味深いものがありました。

この図は全体、建築用、工業用のそれぞれについて価格と数量について2020年以降の前年同期比の推移を示したものです。全体、建築用、工業用のいずれも同じ傾向にあります。時系列的に見れば、2020年の第2四半期にコロナによる大きな落ち込みがあり、その後数量は4四半期連続で急激に回復します。2021年の第3四半期からは今度は価格高騰が2年にわたって続きようやく2023年第2四半期あたりで収束に至ります。この間数量の前年比はすっとマイナスでした。2023年第3四半期以降は、価格数量ともおちついており、突出した動きがありません。コロナから始まった狂乱の時代が終わったかのように見えます。

となると、現在の価格や数量はコロナ禍前の2019年に比べてどのくらいのレベルなのか気になりましたので計算してみました。これは業況観測アンケートの解析で使用している方法です。2024年の第2四半期の価格や数量が2019年の第2四半期に比べてどのような水準にあるかは、2020年から2024年までの第2四半期の前年同期比を累積していけばよいことになります。こうして計算した数値は、価格が+26.7%、数量が-5.1%でした。売上金額は価格に数量を掛けたものですから+20.3%となりました。こうした計算をそれぞれの四半期毎にしてみましたが、価格は+25~30%、数量は、マイナス1から8%、金額が+17~24%となりました。つまり2020年から現在に至るコロナ禍とその後の時代を通じて数量は減少したが、価格(単価)が3割ほども上がったので、売上は2割ほど増えたということになります。これはあくまでAkzoNobelの場合ですが、塗料製造業は概ねこうした傾向にあるのではないかと思います。

今週始めにCoatigs World誌のランキング入りした企業の売上が全般的に前年から増えていないことを指摘しました。ここから先、CO2削減の動きもさらにダイナミックとなり塗料数量が増加しない時代がくるのかもしれません。

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