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かんとこうブログ

2024.09.13

手に取る理由がありすぎる・・ヤクルト400W

ヤクルトに関しては以前にヤクルト1000についてご紹介したことがありました。今日は別な商品である「ヤクルト400W」についてご紹介したいと思います。と言っても商品のご紹介はするものの、あくまで化学の話を書きたいためにご紹介するのであって、ヤクルトから密かに紹介料をもらっているわけではありません。ご紹介する内容はヤクルト中央研究所のサイト(下記接続先)から引用しました。

腸の健康に役立つ機能性素材①:ガラクトオリゴ糖とは? | ヤクルト健康コラム | ヤクルト中央研究所 (yakult.co.jp)

    

昨日帰宅したらポストの1枚のチラシが入っており、そこに「手にとる理由がありすぎる」とうキャッチフレーズで「ヤクルト400W」が紹介されていました。百聞は一見にしかず、400Wのフライヤーはこんな感じです。

要約すると、機能性成分は「生きて腸に到達する乳酸菌シロタ株400億個」と「腸内のビフィズス菌を増やすガラクトオリゴ糖5.0g」であり、効能としては「良い菌をふやす」、「腸内環境を改善する」「お通じを改善する」とあります。乳酸菌シロタ株はヤクルトの代名詞ともいうべき乳酸菌で説明の必要もないのですが、もうひとつのガラクトオリゴ糖というのが新しいもののようです。

このガラクトオリゴ糖というのはどんなものなのでしょうか?乳酸にガラクトースが1~数個つながったものと説明されています。(下図)

このガラクトオリゴ糖の特徴を要約すると ①主成分は母乳や牛乳中にも天然物として存在する ②消化されにくいため大腸に届き、腸内細菌のエサになる ③ガラクトオリゴ糖は工業的に製造可能で熱や保存に強い ④安全性や有効性が確認されており、さまざまな保健用食品に利用されている となります。

実はこの構造式を見て俄然興味を惹かれました。乳糖はグルコースとガラクトースからできています。その乳糖にさらにガラクトースが繋がってできたのがガラクトオリゴ糖です。構造式で描くと以下のようになります。

右から左へ反応が進められていきます。グルコースのOHとガラクトースのOH(黄色い楕円で囲った部分)が縮合してβ-グリコシド結合(乳糖の黄色い丸内)が形成され乳糖となります。さらに乳糖のOHとガラクトースのOH(水色の楕円で囲った部分)が縮合して、今度はα-グリコシド結合が形成されて、ガラクトオリゴ糖となります。

ここで元のガラクトオリゴ糖の構造式に戻ります。

こんどは黄色い丸と水色の丸を書きこみました。右側の乳糖ができる際にグルコースとガラクトースから形成されたのがβ-グリコシド結合で、乳糖とガラクトースから形成されたのがα-グリコシド結合です。おなじグリコシド結合ですが、消化のされやすさは全然違います。β-グリコシド結合をセルロースの結合、α-グリコシド結合をでんぷんの結合と言い換えるとわかりやすくなるでしょう。αの方は簡単に消化されて分解されますが、βは簡単には消化されません。これがガラクトオリゴ糖が、大腸まで届く理由です。分子式で描けば同じなのですが、グリコシド結合はαとβで大違いなのです。この違いは、結合によってできあがる分子の形が大きく変わり、α-グリコシド結合ではらせん状になりますが、β-グリコシド結合では直線状になり、緊密に分子同士が重なり合うことが原因です。

さて「ヤクルト400W」の効能については、ちゃんと試験データが載っていました。説明なしのグラフだけご紹介します。最初はお通じの改善です。排便の一日あたりの回数(左)、一週間あたりの日数ともに改善されています。

次は細菌ちゅうのビフィズス菌の割合の変化(左)です。引用開始からビフィズス菌の割合が増加し、飲用を中止すると減少します。右はヒトの消化酵素で分解されず腸に届き、良い菌のエサとなって腸内関環境を改善することでヒトの健康増進に貢献する物質「プレバイオティクス」となる条件を書いたものですが、まさにガラクトオリゴ糖はこの条件を満たしていると説明しています。

繰り返しますが、これはステマではありません。化学のこぼれ話として紹介させてもらいました。

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