かんとこうブログ
2024.12.13
「まるでこたつ」の秘密
昨日の「BAKUNE」に続き、「まるでこたつ」について調べたことを書きます。「まるでこたつ」とは岡本株式会社が製造販売している特殊な靴下の商品名で、このごろテレビのCMでよく見かけます。この商品の特徴はその名の通り、まるでこたつに入ったように足が温まることにあります。
下の写真は、あちこちのネット販売サイトからお借りしてきました。「まるでこたつ」の機能をよく表しています。
この靴下の構造上の特徴は足首の少し上にあります。三陰交と呼ばれる経穴(ツボ)の部分が周囲に比べて厚くなっており、人体側に盛り上がっているので経穴を適度に圧迫するのです。ただ圧迫するのではなく、この経穴に接する部分が特殊保温発熱素材でできており、水分を吸収して発熱することで温めてくれるのです。
岡本株式会社の商品紹介(上図右下)に特許出願と書いてありましたので調べてみました。ちゃんと年金が払われて権利が維持されていました。請求項は以下のようになります。
特許の請求項はなれないとわかりにくいので、この請求項を図に描いてみました。(下図)
特許の内容を要約すると「足首の上にある三陰交に接するように直径20~30mmの刺激部を設け、刺激部はその周辺と異なる素材(アクリレート系繊維、ウール、キュプラ、レーヨン)でパイル編みされており、靴下の本体部からは肌方向に2~6mm飛び出すように作られており、この構造により三陰交部には適度な圧力(5~9hpa)がかかるようになっている。本体部(刺激部の周辺)は別な素材(綿、ポリエステル、アクリル)で平編みされている。素材の吸湿率の差によって刺激部と本体部では0.3~3.0℃の温度差が生じ、刺激部の方が温度が高くなる。」となります。
https://www.exlan.co.jp/products/apparel/lineup/eks/
なぜ吸湿率が高いと発熱量が多くなるのでしょうか?ここが今日の学習ポイントです。繊維の吸湿発熱に関しての情報を二つ示します。吸湿による発熱は基本的には吸着熱であり、水が繊維表面の親水性基に強く相互作用し、水和エネルギーが熱として放出されるためです。ユニクロのヒートテックもこうした吸湿発熱を利用した繊維です。
吸湿率が高いほど肌着素材として優れるとされるのは、吸湿量が飽和に達するとそれ以上は吸湿しなくなるためです。ウールも吸湿素材ですが、ウールの場合その繊維のらせん状構造により空気を沢山含むことができるという特徴も備えています。
いずれにしても、岡本株式会社の「まるでこたつ」はよく考えられた商品であると思います。