かんとこうブログ
2024.12.18
経産省確報に見る10月度塗料原材料価格動向
12月13日に経産省から工業動態統計調査(確報)10月度結果が発表になりました。そのうち塗料の原材料について総出荷金額を総出荷数量で割った値を単価としてその推移をご紹介します。
最初は樹脂原料からです。10月は値上がり2品目、値下がり4品目でした。このうち前月比5%以上の大幅変動は、ビスフェノールA(値下がり)でした。続いて有機溶剤です。
有機溶剤は、9月度は全品目前月比マイナスでしたは、10月度は値上がり4品目、値下がり2品目でした。このうち前月比において5%以上の大幅変動は、トルエン(値下がり)とエチレングリコールエーテル、メチルイソブチルケトン、ブタノール(以上値上がり)でした。次は顔料です。
顔料も値上がり2品目、値下がり4品目でした。このうち前月比で5%以上の大幅変動は、酸化亜鉛、酸化第二鉄(以上値上がり)とフタロシアニン顔料(値下がり)の3品目でした。最後は樹脂です。
樹脂は値上がり3品目、値下がり2品目でした。このうち前月比5%以上の大幅変動は、石油樹脂(値上がり)でした。
全体では23品目中、値上がり13品目、値下がり10品目でした。前月から5%以上価格が変動したものについて出荷数量と出荷金額の推移を示します。
値上がりした品目の中で、メチルイソブチルケトン、ブタノールは出荷数量と金額の乖離が見られませんが、あとの4品目は金額が数量から乖離して上方にあり、価格上昇傾向が明確です。今後も注意が必要と思われます。
値下がりしたものの中では、トルエンとビスフェノールAについて別な理由により心配です。トルエンは明らかに金額、数量が乖離し価格上昇傾向が明確です。一方ビスフェノールAは出荷数量の減少が明確で将来の供給能力に不安がもたれます。
最後に10月の時点での価格指数を示します。なおこの価格指数のグラフですが、この半年ほどメラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂のデータが他の原料と入れ替わっておりました。大変申し訳ありませんでした。今月から正しい数値となりました。お詫びして訂正させていただきました。なお23品目の指数の単純平均は148.7でした。因みに塗料について同じように指数を計算すると120前後になります。塗料原材料よりもずっと小さな指数値です。