かんとこうブログ
2025.01.05
もう一つの箱根の戦い・・シューズ占有率も激戦
1月2日3日で行われた第101回箱根駅伝は、青山学院大学の2連覇で幕を閉じましたが、この箱根ではもう一つの戦いが選手の足元で繰り広げられていました。選手の履くシューズを巡る熾烈な競争が展開されていました。昨年、一昨年に引き続き、今年もこの戦いの模様をご紹介したいと思います。
2016年にナイキが靴底にカーボンブレードを装着した厚底シューズを上市して以来、日本を含め世界の長距離界は一気に高速化しました。今や長距離選手が厚底シューズを履いて走るのは当たり前となりました。そしてこの箱燃駅伝でも、選手とともにその靴も注目されるようになりました。下図がアルペングループのサイト(下記接続先)から引用したデータをもとに手元で作成したものです。
シューズから見た2025年箱根駅伝(速報) Alpen Group Magazine | アルペングループマガジン
2021年までは厚底シューズはナイキの独壇場でしたが、以降ナイキは徐々にそのシェアを奪われて、2025年はついにトップシェアから陥落しました。奪ったのはアディダス、アシックスの両社であり、プーマも猛追してきています。
2025年のシェアと2024年/2025年の各区間の区間1位~3位までが使用した靴のメーカーの内訳を下図に示します。
左図が2025年の靴のシェアで、アディダス、アシックス、ナイキの3強とプーマで97%を占めています。右図は区間上位者の履いていた靴の内訳ですが、区間賞獲得者に限ってみれば、2024年は10人中7人がナイキが履いていました。しかし2025年は10人中6人がアディダスとなりナイキは2人に減少しました。
選手すべての靴が紐づけされたデータが公開されているわけではりませんが、区間上位3名まではメーカーとタイプ名が公表されていましたので、その範囲で大学別の使用状況を調べてみました。
調べてみて驚いたのは、proto typeと呼ばれる非売品、簡単に言えば上市前の試作品が多数使用されていたことです。これは日ごろからシューズメーカーが大学と密接な連携を取って開発を進めていることを示しており、ナイキのproto typeは少なくとも中央、東洋、青山学院、順天堂、駒澤へ提供されており、アシックスのproto typeは少なくとも、駒澤、日体、早稲田、山梨学院に提供されていました。一方アシックスは市販品だけのようですが、各メーカーとも有力大学と密接な関係を構築して、シューズの開発・提供を行っていることは間違いないものと推測しています。
ここまで各社が箱根駅伝に拘る理由は言うまでもなく、その驚異の注目度にあります。駅伝の注目度たるや日本人で知らない人はいないほどです。かつてはテレビ中継もなく、唯一ラジオだけの中継だった時代を知っている私としては、まさに隔世の感があります。
箱根駅伝においては、競技上の勝者と敗者は存在しますが、出場した選手はもちろん、関係者全員が勝者であると思っています。これほどの国民的行事に直接かかわることができたのですから。力を十分に発揮できなかった選手も含め、その栄誉を讃え、関係者すべてに感謝の意を表したいと思います。