かんとこうブログ
2025.01.09
これまでの45年間をGDPで振り返ると・・その1
今年はどんな年になるのか気になり、いろいろな経済指標を覗いていたところ、これまでの日本のGDPが一体どんな状況だったのか、ちゃんと確認してみなくてはいけないという気がしてきました。そこで1980年実績値から2025の予想値までの45年間のGDPについて振り返ってみたいと思います。データは以下の接続先から引用させていただきました。
https://sekai-hub.com/statistics-category/real-gdp-wb |
まず名目GDP(US$)の推移です。以下世界の国別GDPのトップ5であるアメリカ、中国、ドイツ、日本、インドの5か国の推移を比較していきます。
これまでの45年間を俯瞰するため、近次式を計算させました。近似式にはこの間の推移の傾向がよく現れます。左図のアメリカ、中国および右図のインドは2次の近似式に従う増加でした。対照的に右図のドイツと日本はR2乗値が0.95を超える近似式が2次式となりました。ただし日本の場合近似式の最大値は2011年となりましたが、ドイツの場合には最大値は日本170年先なので、ほぼ1次式での増加とみなすことができます。それにしても日本の推移は異様です。1994年以降はほぼ横ばいから減少傾向にも見えます。自国通貨建てのGDP推移グラフでは見たことがありませんでした。
この名目GDP(US$)は、名目GDP(自国通貨)を為替レートで換算したものですが、実際の生活においてはその国々におけるものの値段が異なるため、生活レベルの比較ができません。そこで実際のものやサービスの値段を基準にした購買力平価GDPというものが計算されています。次はその購買力平価で計算したGDPの推移を見てみます。
先ほどとはだいぶ感じが変わりました。とは言え変わったのは日本とドイツであり、他の3か国はほとんど同じように2次式での近似線に沿って増加しています。購買力平価では中国がアメリカよりも大きく、インドがドイツや日本よりも大きくなっていますが、これは中国やインドのもにおけるものやサービスが欧米などに比べて安いためです。ここでは日本、ドイツとも1次の近似式に従っての増加となりました。
今度は実質GDPの自国通貨での推移を見ていきたいと思います。順番から言えば実質GDPのUS$を見るべきですが、長期データが一覧表がありませんでしたので、自国通貨にしました。自国通貨になるとそれぞれの通貨でグラフを描かないといけませんので5枚に分けました。
ここでもR2乗値が0.95を超えるように近似式を探すと中国とインドは2次式で増加、アメリカとドイツは1次式で増加、日本は2次式で2022年以降減少という結果になりました。確かに日本の推移は見慣れた形でしたが、近似式を求めるとすでにピークを過ぎたという結果になるのはいささかショックです。ですが、日本のみがこれから先実質GDPも縮小していくという近似線であるというのは紛れもない事実です。
さてここまで国全体のGDPを見てきました。最初の名目GDP(US$)が国際的には最も広く使用されるのではないかと思われますが、この名目GDP(US$)にはさまざまな要素から構成されています。基になるのは自国通貨での名目GDPですが、そこには物価変動要因が入ります。すなわち名目GDP =実質GDP× (GDPデフレーター/100)です。物価変動はGDPデフレーターという係数で反映されており、名目GDPに大きな影響を及ぼします。さらに購買力平価のところで述べたように為替レートや人口増減も影響を及ぼすことも自明かと思いますので、これらの推移を順番に見て行こうと思います。
最初は物価の変動による影響を、GDPデフレーターの推移から見ていくことにします。