かんとこうブログ
2025.03.27
1月度経産省確報に見る塗料原材料単価動向
今月も経産省確報(生産動態統計調査)から塗料原材料の単価動向をご紹介します。
最初は樹脂原料です。
ビスフェノールAはこれで3か月報告がありません。値上がりがスチレンモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、エチレングリコール、値下がりがアクリル酸エステル、エピクロルヒドリンでした。続いて有機溶剤です。
値上がりがトルエン、キシレン、エチレングリコールモノエチルエーテル、値下がりがイソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、合成ブタノールでした。続いて顔料です。
値上がりが酸化第二鉄、アゾ顔料、酸化チタン(ルチル型)、値下がりが酸化亜鉛、フタロシアニン顔料、カーボンブラックでした。最後は合成樹脂です。
値上がりがメラミン樹脂、アルキド樹脂、値下がりが石油樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル酸エステル樹脂でした。全22品目(ビスフェノールAを除く)で値上がりが11品目、値下がりが11品目と同数でした。グラフ全体からは概ね高止まり状態であり、樹脂原料のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルに値下がり傾向が見られますが、まだよくはわかりません。
前月から3%以上価格が変動したものの出荷数量と出荷金額の推移をご紹介します。3%以上値上がりした7品目を下図に示します。
これらはいずれもピンク色の出荷金額が青色の出荷数量から乖離して上方にあります。そして出荷数量は減少傾向にありますので、長期的には値上がり傾向となっている原材料です。この傾向が続けば今後も値上がりが予測されます。続いて3%以上値下がりした原料です。
これら8品目の中でも先ほどと同様に数量が減少し、数量と金額が乖離しているものもあり、これらは小刻みに増減を繰り返し長期的には値上がりする過程での値下がりと解釈できます。メチルイソブチルケトン、合成ブタノール、フタロシアニン顔料は、数量と金額の乖離が少なく需給関係、もしくはその他の要因による価格の上下と解釈できるかもしれません。しかし、いずれにしても出荷数量が減少傾向であることは大いに気になるところではあります。世の中全体として塗料原材料として使用される化学物質の需要を減らそうとしているのではないかと考えるからです。
最後に2021年1月=100とした各原材料の2025年1月の指数を示します。全体の単純平均では、前月から0.7上がり154.0つまりこの4年間で原材料価格が1.54倍になっているということです。この数字は同じ期間の塗料の平均単価指数上昇(主要品目の単純平均で125)を大きく上回るものです。