かんとこうブログ
2025.07.18
わずかにマイナス・・6月の日銀短観
日銀短観2025年6月の調査結果が発表になっていました。いつものように各業種別の最新値を含むDI値の推移中心にご紹介していきます。お断りしておきますが、ここでご紹介するDI値はすべて中小企業のものであり、塗料業界にとってなにがしか関係がありそうな業種を選択してご紹介しています。
前々回からご紹介している中小企業における製造業と非製造業の差ですが、3月度に比べ製造業、非製造業とも1ポイントダウンで差は同じままでした。依然差は開いたままです。(下図)コロナ以降をたどると、2020年は製造業の落ち込みの方が大きかったのに対し、2021年は製造業がより早く回復しました。しかしその後は非製造業に逆転され、2022年以降は差が開く一方のように見えます。(図は日銀の時系列データ検索サイトで作成し引用しています。)リーマンショック時も似たような動きではありましたが、一旦回復したあとでここまで差が開きっぱなしということはありませんでした。
続いて製造業について大企業と中小企業の差を見てみましょう。ここでは大企業と中小企業はほぼ交わることなく、常に大企業の景況感が上位にあります。現在は中小企業のDI値が水面にありますが、このグラフの期間において、水面上にあるのは短期間であることを考慮すれば、まずまずなのかもしれません。
2018年から2025年の中小企業の業種別のDI値推移を示します。製造業、非製造業とも1ポイントダウンでしたので、DI値の差は依然15ポイントもあります。
製造業について業種別のDI値推移を示します。最初の5業種です。
この中では非鉄金属のみがアップで他はダウンでした。鉄鋼のDI値は-23となり一段と低くなりました。現時点が2018年のレベルに戻っているかという観点ではいずれも下回っています。
この5業種では、造船重機のみがアップとなりました。自動車は水面下に沈みました。トランプ関税の影響を最も受けると考えられる業種だけに今後がさらに心配されます。現時点が2018年のレベルに戻っているかという観点では造船・重機と電気機械が辛うじて近い水準まできています。
続いて非製造業です。
非製造業では、宿泊・飲食業のみが前回比ダウンとなっていますが、DI値としては依然プラスであり好況が続いているようです。現時点が2018年のレベルに戻っているかという観点では不動産、小売、運輸・郵便、情報通信、宿泊飲食のDI値が2018年よりも高いレベルにあります。
最近一年間(2024年9月~2025年6月)とその前の1年間(2023年9月~2024年6月まで)との平均DIを比較してみました。(下図)
前年の平均DIがマイナスで最近1年の平均DIがプラスに転じた業種は、化学、窯業・土石、機械、電気機械、逆に前年の平均DIがプラスで最近1年の平均DIがマイナスになった業種は、非鉄金属、金属製品でした。前年、最近1年ともにマイナスは石油・石炭と鉄鋼でしたが特に鉄鋼の不況ぶりが目立ちます。前年・最近1年ともにプラスは、造船重機と自動車、非製造業の全業種でした。こうしてみると非製造業の好調さに比べ製造業の回復にはひ弱さを感じます。さらにトランプ関税が発動されたことを考えると、ますます不安が募ります。