かんとこうブログ
2025.08.07
さらにCostings Worldの続き・・各市場での10年間の変化
しつこいようですが、各国、各地域でランク入りした顔ぶれがどのくらい変わったかを調べてみました。すなわち2015年7月号と2025年7月号とでどれほど顔ぶれが変わったかを調べてみました。手元集計なので多少間違いはあるかと思いますが、大まか傾向を見ていただければと思います。
国別でランク入りした会社数の多い順に2015年のランク入り会社と2025年のランク入り会社を比較した表を示します。最初は日本とアメリカです。
最多会社数の1位と2位の国なのですがこの両国は対照的です。赤字は2015年にランク入りしていたが2025年には名前になかった会社です。青字は逆に2015年には名前がなく、2025年に名前があった会社です。日本の場合名前が消えた会社が3社ありますが、いずれも諸般の事情でランクから消えたもので、まだ塗料の製造は継続しています。すなわち新規参入もなく、この10年間は大きな変化はなかったと言えます。
これに対しアメリカは2025年のTOP20までの会社は2015年から継続して名前がありますが、それよりの下のランクの会社はすべて2015年には名前がなかった会社が占めています。名前が消えた理由はさまざまですが、それにしてもアメリカでは10年間で半分の会社が入れ替わったわけです。
続いて、次にランク入りした会社数の多いドイツ、中国、韓国、インドを示します。
ドイツもアメリカ同様超大手は残ったものの、2025年には多くの新顔が名前を連ねています。ランク入りした会社数はほぼ倍増しました。中国も同様で、新興勢力の台頭が著しくなっています。2015年と2025の比較では、この両国の躍進が顕著でした。それに比べるとインドと韓国は、それぞれTOP2とTOP3の顔ぶれが変わらず、入れ替わりはあったものの、それほど大きな変化とはなりませんでした。
最後は残りの地域をまとめてごらんください。
字が小さくなりましたが、赤字と青字に注目していただくと、大きく顔ぶれが変化したのは、欧州と南北アメリカであることがわかります。すなわちここ10年間で見ると大規模なM&Aによる塗料製造業の構造変化は、欧米を中心として起きており、それに中国とインドの市場拡大という要素が加わり、現在のランキングとなっているものと結論づけられるのではないかと思います。
2015年7月号と2025年7月号のランキング入りした会社数が奇しくも同じ79社でした。地域別内訳が下図のようになり、10年間で会社数が増加した地域としてはアジア(主に中国)、欧州(主にドイツ)、減少した地域としては北米、中東・北アフリカ、ロシア、豪州となりました。ただこれは売上金額の大きな会社数の増減であり、実際の塗料需要と区別して考える必要があります。
こうして眺めてみると、日本ペイントの一大変革と躍進があったにせよ、日本の塗料業界は大きな変化なしに過ごしてこられたことに一種の驚嘆を覚えます。