お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2025.08.21

安全性の高い鎮痛薬の開発

先日京都大学が、オピオイド(中枢神経に作用して痛みを和らげる鎮痛剤)より安全性の高い鎮痛剤を開発し実証試験を行うと言う話がニュースで紹介されていました。オピオイドと言えば、先月のブログでフェンタニルの問題をご紹介したばかりでしたので気になって調べてみました。

現在医療で用いられている麻薬系のオピオイドには下表のようなものがあります。

これら麻薬系オピオイドの鎮痛作用は以下のように説明されています。

身体のどこかで痛みが発生すると神経を伝わり脊髄の後角まで伝達され、そこから脳に伝わる神経を通って脳に伝えられます。(上行性痛覚伝導)脳は痛みを認識すると今度は痛みを抑制する方向に指令がでます。(下行性痛覚抑制)具体的には、脊髄後角オピオイド受容体で上行性痛覚伝導を止め、延髄オピオイド受容体で下行性痛覚抑制を活性化させます。(上図の〇と✕)すなわちオピオイドはオピオイド受容体に取り付き、痛覚伝導を抑制、痛覚抑制を増大させる働きで鎮痛作用をもたらしています。しかしながらこうしたオピオイド受容体に作用する鎮痛剤には、副作用として呼吸抑制効果があり、違法合成ドラッグでなくても、呼吸抑制による中毒死の危険性があります。

今回開発された新薬は、上記の作用機序とは異なり、「ヒトは生命に危機が及ぶ状況に陥った場合に、脳から分泌される神経伝達物質「ノルアドレナリン(NA)」が作用して痛みが抑えられるが、自らノルアドレナリンの過剰な分泌を防ぐよう制御されている点に着目。新たな研究技術を導入し、こうした制御を遮断する薬剤を開発した。」というものです。

以下京都大学病院が昨年4月に発表した内容から引用してその概要を示します。

図中のENDOPINは昨年時点での薬名です。この薬物がアドレナリン受容体α2Bに作用し、誤情報を発信することで鎮痛物質であるノルアドレナリンを放出抑制を阻害し、ノルアドレナリンによる疼痛伝達経路を抑制し鎮痛作用を示すとされています。そしてこの薬剤では、モルヒネと同等の鎮痛効果を示す用量においても、副作用や依存性を示すことがなかったとされています。

薬の構造に関しては情報が見つかりませんでしたが、特定の受容体に関しての構造解明やそれに基づく分子設計は日進月歩ですので、こうした新薬の開発が進むことを期待したいと思います。

コメント

コメントフォーム

ブログ内検索

カレンダー

«8月»
     1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31       

フィード

To top