かんとこうブログ
2025.09.10
法人企業統計調査に見るトランプ関税の影響
法人企業統計調査2025年4~6月分が9月1日に発表になりました。法人企業の決算結果を集計したものであり、業種別にまとめられていますので、業種毎の業況が現れています。トランプ関税はじめ、第1四半期の業況を見るのには適した資料だと思われますので、ご紹介していきます。
この法人企業統計調査は全国約90万社の母集団の中から抽出した約32000社に対する調査結果で約22000社が回答しています。2024年4月~のデータも掲載されていますので、ここ1年少しの推移を見ることができます。それでは全産業、製造業、非製造業の3者のデータからご紹介します。ここでは売上高と営業利益の前年比のみをご紹介していきます。
売上高、営業利益とも前四半期から前年比が降下しました。特に製造業の落ち方が大きく全産業の前年比をゼロ付近まで引き下げました。これから見るとトランプ関税の影響は、特に製造業に少なからぬ影響を与えていると言えるでしょう。これが今回の調査の最も重要な点です。
以下業種ごとに売上高、営業利益の前年同期比をご紹介します。製造業の売上高前年同期比増減%から示します。
5期連続で前年同期比マイナスが鉄鋼と金属製品、4期連続マイナスが石炭・石油でした。今期にマイナスに転じたのが化学で、全般に機械と名の付く業種はここのところ前年比プラスとなっています。心配な自動車(輸送用機械)は辛うじてプラスに踏みとどまりました。
続いて非製造業の売上高前年同期比です。
こちらは製造業に比べると目立って悪い業種はありません。今期マイナスは建設業と電気業のみとなっています。ただし、この5四半期を見ると、右下がりの業種はいくつか目につきます。建設業、物品賃貸業、運輸・郵便業、サービス業です。
次に製造業の営業利益をご覧ください。前年同期比増減%の値があまりに大きく変動するため、統一スケールでは収まらない業界が続出しました。
営業利益の前年と同期比増減%では、石油石炭の激減が衝撃的です。エネルギー資源価格の乱高下、為替の変動などが影響しているものと推測されます。ここでも鉄鋼、金属製品は低迷していますが、売上高が減少すれば営業利益も減少して不思議はありません。化学も同様に売上と連動するように営業利益も前年比マイナスとなりました。
注目の自動車(輸送用機械)ですが、今期は前年比大きくマイナスとなりました。また、コロナ禍でも好調だった通信用機械は、前年4~6月から急降下を続け今期はマイナス50%を超えていますが、前年同期の反動とみるべきかと思います。
続いて非製造業の営業利益前年同期比増減%です。
概ね前年比はゼロ周辺にあるなかで、電気業の急騰と急落が目立ちます。今季前年比増減がマイナスは建設、卸・小売業、電気業でした。
ここまで見てきたことを以下に整理してみました。2025年4~6月における売上高、営業利益の前年比増減で分類すると下図のようになります。売上高前年比がマイナスであった業界は、すべて営業利益前年比もマイナスでした。売上高、営業利益とも前年比プラスは製造業では、はん用機械、生産用機械、電気機械、情報通信機械、非製造業では、不動産業、物品賃貸業、情報通信業、運輸郵便業、サービス業でした。ただし、情報通信業は本当に微増収微増益でした。