かんとこうブログ
2025.09.19
経産省確報による塗料の原材料単価動向
先週の金曜日に経産省確報7月度調査結果が発表になっていますので、例月のように塗料原材料の単価(出荷金額/出荷数量)の動向をご紹介します。最初は樹脂原料からです。
アクリルモノマー類は今年に入り価格が低下傾向です。続いて有機溶剤です。
トルエン、キシレン、イソプロピルアルコールは今年に入り価格が低下傾向です。メチルイソブチルケトン、ブタノールは、大幅な価格変動を繰り返す中での動きと見ています。続いて顔料です。
フタロシアニン顔料はこのところ毎月価格の上下を繰り返していますが、その理由は判っていません。最後は樹脂です。
樹脂の中ではエポキシ樹脂の価格上昇が止まらない印象をうけます。
これらの中で、7月に前月から5%以上価格が上昇した原材料について出荷金額、出荷数量の推移のグラフを示します。
2021年1月の時点のプロットをできるだけ同じ高さになるように書いています。こうするとその後の推移で価格の動向が判断しやすくなります。いずれのグラフも時間の経過とともに金額の位置が数量よりも高くなっています。これは単価が上昇していることを意味しています。また出荷数量はいずれも時間の経過とともに下降傾向です。すなわちこれらの材料は出荷数量が減少しているのにも拘らず金額が増加し、金額の増加以上に単価が上がっていることになります。そしてもう少し付け加えると、多くの塗料原料がこうした傾向にあるということです。
その一例として前月から3%以上単価が下降した原材料から4つ選んで、出荷数量と出荷金額の推移を示します。
グラフをよく見ていただきますと、これらのすべてが時間の経過とともに出荷金額が出荷数量の上方へ乖離していっています。そして出荷数量が減少傾向にあります。塗料の出荷数量が減少傾向を続けていることは、塗料だけに使用されているのであれば残念ながら塗料の生産数量が減少傾向にあるので当然のことなのですが、例えばキシレンなど広範な用途があると思われるものも出荷数量が減少しています。これは大変に心配されることなのです。つまり、化学物質の生産が縮小していっているのではないかという懸念が払しょくできません。この傾向が続けば、塗料原料の単価がますます上がり続けるだけでなく、入手が困難になっていくことになります。
最後に2021年1月の単価を100として、2025年7月の単価を指数で表したグラフを示します。指数の単純平均は7月は148.3でした。このところ全体の平均値は150前後で停滞しています。