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かんとこうブログ

2025.10.06

女性首相誕生で日本のGender Gap 指数はどれだけ改善されるか?

先週土曜日の自民党総裁選で高市早苗氏が初の女性総裁として選出されました。劇的な選挙の内幕や党人事、閣僚人事など話題満載の週末でしたが、私としてはこれでGender Gaps指数がどのくらい変わるのかが気になっていました。Gender Gap指数は、毎年6月に発表される女性の地位と権限などに関する世界各国のランキングであり、日本は毎年のように世界の下位に甘んじており、その理由が女性の政治における活躍の場が著しく少ないという指摘が毎年のようにされているものです。今日は初の女性首相(まだ決まってはいませんが)誕生によって、この指数がどれくらい改善されるのかをご紹介します。

まず今年6月に発表されたGender Gap 指数の概要を示します。(元データは下記urlをご参照ください。)

https://reports.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2025.pdf

4つの項目のスコアを単純平均したもので、4つの項目とは「政治的参画・機会」、「就学機会」、「健康・寿命」、「政治的権限」です。日本はG7の中で最下位であり、上記4項目の中で「就学」と「健康・寿命」は万点に近いスコアながら、「経済的参画」と「政治的権限」で後れを取っているのが下位低迷の主要因となっています。その他の下位の国も同様で、後れをとっているのは、「経済的参画・機会」と「政治的権限」に限られると言っても良いほどです。さらに言えば、日本の「政治的権原」についてはこの表のどの国よりも低い数値になっています。

となるとこの「政治的権限」は何を基準に決めているのかということになりますが、項目は3つしかありません。下表をご覧ください。日本の2025年のGender Gap指数のうち「政治的権限」の詳細です。

項目の一つ目は「国会における女性議員比率」です。二院制の国は下院の女性比率となりますので、日本では衆議院の女性比率となります。二つ目は「大臣における女性比率」です。そして最後の項目が今回の初の女性総裁が最も影響する「過去50年の女性総理または大統領の女性比率」です。

具体的な計算方法は、それぞれの項目の男女比をもとに、女性比率/男性比率で求められる偏差にそれぞれの項目の重み係数をかけた数値を足し合わせたものがスコアとなります。3項目のスコアの合計がこの「政治的権限」のスコアになるわけですが、2025年における女性の衆議院議員比率は15.7%、女性大臣は10.0%、女性総理大臣在任期間は0ですので、0.085という極めて低い数値で世界148か国中の125位になっています。お気づきのように地方議員や首長はカウントされません。あくまで国政のみの女性参画が問われています。

さて本題に戻って高市総理が誕生したとして、どれほどスコアが改善されるかということですが、残念ながらほとんど改善されません。議員や大臣の場合は就任するとすぐにスコアが改善されますが、総理大臣の場合は過去50年間の男比率から計算されますので、仮に1年間総理大臣を務めたとしても男女比率は1:49にしかならず、偏差は0.0204となります。この数値に重みづけ係数をかけたものが政治的権限のスコアの改善となりますので、わずかに0.090の改善しかできません。しかも全体スコアへの改善はさらにその1/4ですので、全体スコアの改善は0.023とますます微小になってしまいます。ですので決論として、女性首相が誕生して1年務めてもGender Gap 指数が大幅に改善されることはないということになります。

しかし、上の表をみていただくと女性衆議院議員や女性大臣ならばもっと簡単に改善できるのではないか?と気づかれた方もいらっしゃったのではないかと思います。そうです、女性議員や大臣を増やすことで大幅に政治的権限のスコアを改善できるのです。

以下は全くの仮定の話ですが、夢物語ではなく実現性のある仮定ではないかと思っています。女性衆議院議員については29.4%。男性議員が70.6%と仮定します。これは今年の参議院選挙の結果を加味した現在の参議院の男女比率で偏差は0.416となります。大臣については、女性25%、男性75%、つまり20人の閣僚のうち5人を女性が占めるという仮定です。これは第2次岸田内閣時代に実績があり、この時の偏差は0.333となります。そして高市総理には5年間務めてもらうと仮定します。いささか長期政権過ぎるのではないかというご批判は承知のうえで、このくらいの年数にしないとスコアを大きくできませんので悪しからずご了承ください。この時の偏差は0.111となります。ここまでで計算した偏差に係数をかけて合計すると政治的権限のスコアは0.261となり世界148か国中の67位と一気に55位ジャンプアップします。

ここから全体の指数を計算すると0.710、2025年の全体値から0.044向上し、順位は75位まであがります。それでもまだ75位かという声があるかもしれませんが、実現可能な仮定として女性議員数や大臣数をこのくらいの数字をイメージしてみても良いのではないでしょうか?

因みに女性議員比率は選挙の度に上がってきています。ただしこれは世界的傾向ですので、それに安心していてはいけません。

課題山積の日本ではありますが、高市総裁は、自分はワークライフバランスは忘れて仕事すると宣言されました。女性初の首相による斬新な政策に果敢に挑戦し、成功することで停滞する日本を変革していただきたいと思っています。また女性議員、女性大臣の比率アップにも力を注いでいただければと思います。高市総理在任期間が延びれば伸びるほど、日本のGender Gap指数が向上していきます。ご活躍を祈ります。

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