かんとこうブログ
2025.10.21
夏季の海水温の推移・・1982年から43年の推移
先週から今週はじめにかけて台風22号、23号が連続して伊豆諸島に襲来しました。CO2排出による気候変動の中で夏季海水温上昇は、さまざまな問題を引き起こしていますが、中でも最も懸念される問題の一つに台風の頻発、強大化があります。
海水温による台風への影響を考えるうえで、クリティカルな温度は27℃と言われています。通常、台風が日本の遥か南で発生したあと海上を発達しながら日本に接近してきます。この時台風が発達するために条件が海水の表面温度であり、27℃以上であれば発達し、26℃以下では発達しないと言われています。この境界線は、飽和水蒸気圧に由来すると言われています。つまり海水の表面温度が27℃以上か、26℃以下か、が台風の発達に関しての大きな境界線であるということです。
それでは早速日本近海の7月から10月までの月平均海水温の推移を見ていきましょう。日本近海の海水温度分布図について2025年と1982年(同じ形式でのデータが公開されている最初の年)とで比較してみることにします。
これらの図において、海水温は色で示されており、低い方から緑、黄、橙、赤、ピンクの順に高くなっています。27℃の等温線は、緑色の小さな四角形繋ぐ線として表しています。
43年間の差は、ピンク色の海域(海水温28.5℃以上)の面積、27℃の等温線(緑色の小さな四角形を結んでいる線)の位置に現れており、いずれも海水温の上昇を物語っています。
それではこの43年間を遡って海水温の変化をみていくことにします。
まず直近の5年間を示しました。7月と10月はそうでもありませんが、8月9月では、南方のピンク色の海域が広くなってきています。さらに緑で示す27℃の等温線がじりじりと上昇しており、2023年以降は特に27℃の等温線が日本海側で特に上方に上がり込んでいます。このことは、台風が日本に接近し日本に上陸するまで発達を続ける可能性が高いことになります。
だんだん昔に遡ります。1982年から2015年まで5年刻みに日本近海の海水温推移を示します。
年によっての変動もありますが全体を眺め渡せば、ピンク色の高温海域は広がり、27℃の等温線は上方に移動してきていることが判ると思います。地球全体で見れば南半球よりも北半球の温暖化が激しく、北半球の中でも日本は温暖化が激しいとデータが示しています。その理由のひとつは間違いなくこうした海水温の上昇にあると思われます。
こうした海水温の上昇は二酸化炭素濃度が減少すれば戻るのだとは期待できますが、当面こうした高温海水状態が続くものと考えざるを得ません。