かんとこうブログ
2025.10.30
血糖値を下げんとせばまず脂肪を下げよ・・明治ヨーグルトの話
このごろテレビのCMで見かける明治のヨーグルト、ヘモグロビンA1cを減らして血糖値を下げる働きがあると説明されていますが、一体どんな機構で血糖値を下げるのか気になって調べてみました。すると「乳酸菌研究最前線」というサイト(下記URL)で詳細に説明されていました。この話を要約すれば表題のようになるのですが・・・同社の説明資料を使って代わりに説明させてもらいます。
https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/oll2712/03/
まずは急がば回れで「脂肪がたまる話」から聞いていただきましょう。

以下要約です。脂肪がたまるのは食物として摂取した脂肪がそのままたまるのではなく、食物中の糖が分解されブドウ糖となって吸収され、エネルギーとして使用されたのち余ったものが体内で中性脂肪に合成され、それが体内に蓄積されるからです。よく脂肪の採りすぎと言われますが、正しくは脂肪の合成しすぎなのです。こうしたブドウ糖をエネルギーとして使用したり、脂肪に合成したりするのは、すい臓から分泌されるインスリンの働きによるものです。

脂肪を分解してエネルギーとして使用する際には体内で「炎症」が起きてしまいます。通常収束するこの「炎症」は、時として収束できず慢性化します。するとこのブドウ糖/脂肪のコントロールをしているインスリンの効き目が悪くなり、取りすぎた糖や脂肪を処理しようとたくさんのインスリンが分泌され脂肪の合成が促進されて脂肪が溜まってしまいます。このようにして脂肪が溜まってしまうのです。
あれれ、ヨーグルトはどこで出てくるの?と思った方、もう少しお待ちください。いよいよヨーグルトに入っている乳酸菌OLL2712群が登場します。実はこの血糖値を下げる優れモノのヨーグルトは、まずは脂肪の蓄積を低減させる効果を調べられていました。

上図に示す通り、BMIが高めの成人92名を対象に行った試験において、乳酸菌OLL2712群を含むヨーグルトを12週間にわたり摂取した人たちには、プラセボ(偽薬)を含むヨーグルトを摂取人たちと比べて、統計的有意に脂肪蓄積の低減効果が認められました。この乳酸菌にちついてさらに調べるとこの乳酸菌の効果は脂肪抑制だけに留まらず、血糖値上昇の抑制にも効果があることが認められたのです。別な試験結果です。


上図左は、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の抑制効果を示したものです。糖尿病予備軍の人たち130人を対象にした12週間の試験において、乳酸菌OLL2712群を含むヨーグルトを摂取した人たちは、プラセボを含むヨーグルトを摂取した人たちに比べよりHbA1cを減少させました。
そして同時に調べたインスリン抵抗性指標(HOMA-IR)も増加しないことが立証されたのです。このHOMA-IRとは、最初の方に説明した「脂肪分解の慢性化によるインスリンの効力低下」の指標です。このHOMA-IRの数値が上がるとインスリンの効果が低下するとされています。
この試験から、この乳酸菌OLL2712群を含むヨーグルトの効果については以下のメカニズムが考えられています。

冒頭から説明してきたように、血糖値の上昇のもとを辿れば脂肪分解による炎症の慢性化でした。そしてこの乳酸菌OLL2712群は、腸内環境で抗炎症性物質を産生し、炎症の慢性化を抑制することがわかりました。炎症の慢性化が抑制されればインスリンの効果が減ずる(インスリン抵抗性があがる)こともなく、体内での糖と脂肪のコントロールが正常にできるので血統値が適正に保持できるというわけです。
すなわち表題に書いたように、「糖を減ぜんとせばまず脂肪を減ぜよ」なのです。長々と書いてきましたが、お分かりいただけたでしょうか?と、気が付けば肝心のヘモグロビンHbA1cの説明をしておりまませんでした。これについてもしっかり調べたのですが、もう紙面をずいぶん使ってしまいましたので、明日にさせていただくことにしました。今日はこれで終わります。