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かんとこうブログ

2025.11.25

熊の人身被害状況を整理してみました

前回は熊の出没状況をご紹介しましたが、今日は熊による人身被害についての情報を整理してご紹介したいと思います。データの中心は環境庁が11月19日に発表している都道府県別の人身被害状況(下記接続先)です。

r07injury-qe.pdf

残念ながら10月までしかデータがありません。被害がさらに深刻化している11月のデータの発表はおそらく12月19日頃と思われますのでまだ先になり、とても待ちきれませので、この段階でのまとめということでご了解ください。

環境省のサイトでは、過去11年間の年間データが公開されていますので、これまでの月別の人身被害件数、被害者数、死亡者数の推移をグラフにしてみました。(下図)

いずれも同じようなグラフになりました。赤線で示した令和7年度は、8月以降過去の最多被害をもたらしていることが判ります。被害者数も死亡者数も同様です。ただ、これまでの過去最高だった2年前と比べると桁違いというほどには多くはありません。このことから熊騒動は加熱報道が原因などというのはとんでもない見当違いであり、秋田県や岩手県では、日常生活に大きな影響が出てきており大変な労苦を背負う毎日となっています。

過去18年間の人身被害のデータがありましたので紹介します。

このデータはツキノワグマとヒグマに分かれていました。前回ご紹介したようにヒグマは北海道のみ、ツキノワグマは本州以南が生息地になります。ツキノワグマとヒグマを比較するとヒグマの人身被害が少ないことに気がつきます。生息地が北海道に限定されているということが理由ではないと思われます。推定数ではヒグマ1万2000頭、ツキノワグマ4万2000頭以上とのことですから、ヒグマの頭数の割には人身事故が少ないと言えるでしょう。

しかしながら、一方で人身事故数に対する死亡者数の割合は、ヒグマの方が断然高く18年間の平均でも事故数の28%にあたる方が亡くなっています。

ツキノワグマとヒグマの両方を合わせた人身被害件数と被害者数のグラフを示します。(下図)

令和7年度は4月~10月までのデータです。これに11月の件数、人数を加えれば過去最多となることは確実です。そして両者とも一次近似式の傾きはプラスにっており、中長期的にみても増加傾向にあることは間違いありません。

死亡者数は令和7年度がすでに過去最高になりました。11月に入りさらに増加しているようですので、間違いなく災害というべき事態になっています。こうやって整理してみてもやはり今年はまちがいなく過去最悪の年となることは疑いの余地がありません。

11月の人身被害について東北地方を中心に各県庁のホームページを調べてみましたが、秋田県と岩手県に人身被害の一覧表(11月初旬まで)が載っているだけで、はっきりしたことは判りませんでした。きっとそれどころではないのだと思われます。

最後に秋田県のサイトに載っていた熊の人身被害状況の統計資料がありましたのでご紹介します。

左図は人身事故の発生時間帯の内訳です。少なくとも早朝から夕方まではいつでも被害に遭遇する可能性がるということです。夕方から深夜にかけて発生が少しているのは、果たして熊の行動習慣によるものか、はたまた人間の外出が減るためかはわかりません。図は載せていませんが、何をしているときに被害にあったかという点については、地域内活動、農作業、散歩がトップ3でした。すなわち山へでかけたのではなく日常生活の中で遭遇したケースが多いということです。

右図は被害に遇ったときに音のでるものを持っていたかという質問にたいする答えです。家の近くでの被害では音のでるものを所持していないケースが多く、県は外出時は常に音の出るものを所持するよう呼びかけています。

熊による人身被害は通常12月には激減します。冬眠にはいるからです。ことしもあと少しで12月になりますが、果たして例年のように熊が冬眠するのか?という疑問が出されています。そもそも冬眠するのはエサがなくなるためですが、人の住む場所には年中食べ物があると学習した熊は冬眠しないのではないかという話もでてきています。となるとこの恐ろしい状態が続くことになります。どうか冬眠してくれるよう祈らずにはいられません。

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