かんとこうブログ
2025.12.02
対米自動車輸出10月単価が回復傾向なるも為替の影響も
11月27日に財務省から10月の貿易統計が発表になりました。鉄鋼、非鉄金属、自動車、自動車部品について、トランプ関税発動以来日本の輸出状況を調べていますので、9月についてもご紹介していきます。
結論から書くと、「これまで同様、鉄鋼と非鉄金属については変化なし。自動車と自動車部品については、来米輸出において今年の5月以降数量は大きな変化なしであるが、金額が明らかに減少しており、その理由は単価が下がっていることである。10月に入り単価は回復傾向にあるが、為替に変動も影響している。」ということです。
では具体的にデータをみていきましょう。


これらのグラフは地区別の自動車輸出の推移を示しており、左から月間の輸出台数(万台)、輸出金額(百億円)、単価(百万円/台)、上から順に、輸出全体、対米、対EU、対アジアです。▲は日本の休日の関係で輸出が落ち込む1月、5月、8月を示しています。
さてざっと眺めていただきますと、1月、5月、8月を除くと大きな変動は少ない中で、対米輸出における金額と単価が今年の5月以降落ち込んでいる(赤丸部分)ことがわかります。輸出全体もその4割弱を占める対米輸出に引きずられて影響を受けています。
対米自動車輸出の関税は、もともと2.5%だったものが、一時は25%になり9月に15%に引き下げられた形で決着を見ました。5月に大幅に下がって以降9月まではほとんど変化が見られませんでしたが、10月はやや回復傾向にあります。しかし、為替も円安方向に動いていますので、為替の影響ともいえますので、もう少し様子を見たいと思います。為替の影響は対EU自動車輸出においても見られます。
一方自動車部品については以下のようになりました。ここでも対米輸出の単価は大きくその単価を下げたままです。自動車部品の場合、最大の輸出先はアメリカではなくアジアですが、アジアの単価は低迷からやや回復傾向であり、輸出全体の単価も回復傾向なっています。しかしここも為替の影響を考慮する必要があります。
