かんとこうブログ
2025.12.10
熊による人的被害と捕獲件数
昨日に続き、クマに関する環境省の公開資料のご紹介です。人的被害ついては10月末段階までの数値をご紹介していました。11月の数値が載っていましたので、それを入れて図を描き直しました。(下記接続先)
年度別、月別の人的被害者数と死亡者数の推移を下図に示します。

11月は、10月の数値から被害者数、死亡者数とも減少しました。どうなることかと心配されましたが、さすがに10月の被害件数が多かったため、警戒と対策が徹底されたためと思われます。11月の数値を入れて年度別のグラフを描き直しましたが、被害件数、被害者数、死亡者数については11月の時点でいずれも過去最高を記録し、特に死亡者数についてはこれまで最高の6人に対し2倍以上になっています。また被害件数に対する死亡事故率については、圧倒的にヒグマの死亡率が高いことは先月までの結果と同じです。

次に先月はご紹介しなかったクマ類の捕獲件数についてご紹介します。環境省では捕獲件数、捕殺数、非捕殺数として都道府県別に集計がされており、2008年以降のデータが掲載されています。(下記接続先)
驚いたことに、捕獲数はほぼ捕殺数と同じでした。イメージとしてはお灸をすえられて山に返される場合もかなりあるのではないかと思っていましたが、捕獲ほぼイコール捕殺であるということは、一度人間の食糧に味をしめたクマに対してはもう殺処分するしか方法がないためであろうと思われます。一度こわい思いをさせれば里へおりてこないなどという甘い話ではないということがよくわかりました。捕獲件数と捕殺件数の推移、クマの種類別捕獲件数の推移を下図に示します。いずれも明らかに年々増加傾向にありますが、今年がとびぬけて多いというわけでもないということは予想が外れました。

しかしながら、この18年間(2025年度は11月末まで)で捕殺されたクマの頭数は、ツキノワグマが64,927頭、ヒグが13,157頭になります。現在に日本に生息ししているクマの数は、ツキノワグマが42,000頭、ヒグマが12,000頭と言われていますので、この18年間に、推定生息数の1.5倍のツキノワグマと推定生息数以上のヒグマが捕殺されたことになります。これもかなりショッキングな数字になります。それだけ人里へ出没している、あるいはせざるを得ないクマが多いということになります。
都道府県別のデータも載っていましたので、主なところをグラフ化してみました。こちらも例外なく捕獲数は増加傾向にあります。

これら10道府県の中で、2025年度が最多であるのは、福島県、岩手県、山形県の3県だけでした。2025年度はまだ11月なのでさらの増加することも十分考えられますが、報道される被害状況に比べると捕獲数が少ないように感じます。それだけ捕獲自体が難しくなっていのではとも考えられます。
いずれにしても、12月に入っても出没情報が続いています。北海道、東北、北陸地方の方々が、クマを警戒をしながら除雪をしなければならないという大変な状況にならないことを切に祈ります。