かんとこうブログ
2026.01.23
確報前年同月比は暦の影響を受けているという事実
先日、確報の数値をご紹介する際に、11月の前年同月比が全般に低いのは暦のせいで、2025年11月は土日祝日数が12日もあり、2024年11月の1日よりも2日多く、その分出勤日数が少なかった会社が多かったためではないか?と書きました。2024年3月の前年同月比が落ち込んだ際にも同様なことが言われておりましたので、過去4年分の土日祝日日数を調べて、確報の前年同月比と比較してみましたので、その結果をご紹介します。
まず、前年同月と土日祝日数がどうなっているかを調べました。ただし、1月、5月、8月は除外しました。理由はそれぞれの月に長期が休暇が設定される場合が多いのではないかと思ったからです。1月の正月休み、5月の連休、8月の夏季休暇です。この3カ月は例年、他の月に比べて明らかに生産量が少なくなっています(下図参照)ので、おそらく普通の月とは異なる休日設定がされているものと思われます。

土日祝日の日数を調べた結果を下に示します。さらにそれらを差し引いた残りの日数を計算し、この日数を推定出勤日数と仮定することにしました。もちろん、こんなに休みは多くないという会社もあろうと思いますが、生産数量の多くを生産する大手はすくなくとも土日祝日は休日としているであろうと仮定します。この推定出勤日数を使って前年同月比%を計算しました。推定出勤日数の前年同月比を下右表に示します。

上右表で色付けしたのが、推定出勤日数が前年と同じでない場合です。各年とも9月中3~5カ月が前年と同じではありませんでした。しかも前年同月%を計算すると1日違うと約5%、2日では約10%前年比が変動します。
皆さんが前年同月比を見たときに90%や110%という数字をみれば、ずいぶんと良かった、悪かったという印象を持たれるのでないかと思います。出勤日数の影響は思ったよりも大きいことがわかります。
そこで、推定出勤日数と経産省確報の前年同月比を比較してみることにしました。

1月5月8月については推定出勤日数をすべて100%としてグラフを描きました。図中に矢印は、推定出勤日数と生産数量、出荷数量、出荷金額が、同じ方向に変化しているかどうかで色分けしたもので、赤は推定出勤日数と確報数値の前年同月比が同じ方向に動いている場合を、青は異なる方向に動いている方向に動いていることを示しています。推定出勤日数の前年比が多い月は生産数量、出荷数量、出荷金額の前年比も大きいことが多く、逆に推定出勤日数の少ない時はそうした数値の前年比が小さいことが多いということです。
言い方を変えると、前年同月比の増減に推定出勤日数の影響が少なからず寄与しているということです。そこで、経産省確報の数値を、推定出勤日数を前年と揃えた場合にどのようになるかを見てみました。言ってみれば、出勤日数の影響を排除したらどうなるのか?ということです。

結果はこのようになりました。確報値との差について特に問題だと思われるのは2023年7月、10月、2024年6月、9月、2025年6月です。これらの月では、出勤日数が同じだとして計算する(これは推定出勤日一日あたりの生産量、出荷量、出荷額を計算することと同じ意味です)と確報値が前年比プラスであったものがマイナスに、マイナスであったものがプラスになってしまいます。そこまでいかなくとも2024年3月などは、確報における生産数量前年比が88.9%と絶不調ですが、出勤日数を同じにして計算すると97.8%となりさほどでもないことになります。2023年~2025年の中で、特に2024年は3月、4月、6月、7月、9月と年の中ごろに集中して推定出勤日数が前年と異なる月が並んでいたため、推定出勤日数を一緒にして計算した場合の数値とかなり違った推移になっています。(上図紫色の点線で囲った部分)
経産省の確報はその月の生産量、出荷量、出荷額ですから、揺るがないものです。しかし前年同月比には見えない変動要因として出勤日数があることも揺るがない事実です。1月、5月、8月の出勤日数の少なさはすでに認知されていると思いますが、それ以外の月に関しても、前年同月比の数字を確認する際に前年の暦と一緒に確認した方がよいのではないかと思う次第です。以前から書いていますように前年同月比は平時の指標であり、大きな変化についてはミスリードの危険性があると思います。加えて、暦の影響をうけるということも忘れないようにしたいと思います。