かんとこうブログ
2026.02.09
祝!近畿大学の「のどぐろ」完全養殖成功
近畿大学が「まぐろ」に続き「のどぐろ」の完全養殖に成功したとニュースで報じていました。実用化にはまだ時間がかかるようですが、高級魚の完全養殖成功は明るく楽しみなニュースです。今日はこの「のどぐろ」の完全養殖と「のどぐろ」そのものについて調べたことをご紹介します。これまでかなりの回数この魚を食べてきましたが、「のどぐろ」という魚についてはほとんど知りませんでした。
まず近畿大学のプレスリリースからご紹介します。(下記接続先:近畿大学の発表も同内容です)
世界初!近畿大学がノドグロの完全養殖に成功 養殖用種苗生産技術の確立と実用化をめざす | NEWSCAST
具体的には以下のように完全養殖化が進められました。下図左上の表をご覧ください。まず日本海で天然魚から採卵して人工ふ化し、それを3年間育成しました。昨年、この3歳魚を用いて自然またはホルモン投与により産卵させ、それを受精させる実験を行いました。ホルモン投与した雌を使用し、人工授精により受精卵が得られ、それをふ化させて120日ほど生育することに成功したのです。つまり卵から人工的に育成し、その魚が産卵した卵から魚を育成することに成功したということです。もちろん、いきなりこうした完全養殖が成功したわけではなく、その背後には飼育研究から始まって、段階的に進めてきた一連の研究があります。(下図右下の表参照)

ただ、今度の完全養殖の研究は、ある意味まだ不完全であると言わざるを得ないようです。なぜならば昨年人工ふ化した「ノドグロ」は、その97%が雄であり、産卵してくれる雌が3%しかいなかったからです。
近畿大学の発表はおおよそ以上であり、これ以上詳しい説明がありませんでした。そこで、「のどぐろ」についてもう少し調べてみることにしました。すると雌が3%しかいないことの問題の大きさがより鮮明になりました。
これ以降の内容はすべて、その名も「あかむつ」(「のどぐろ」の正式名称)ドット.コムのサイトからの引用です。
https://akamutsu.com/overviews/seitai/
「のどぐろ」は、雌の方が雄よりも大きく、かつ寿命が長いのです。つまり30センチを超えるような「大きなのどぐろ」はすべて、雌であるということです。雌がいなければ産卵されないので養殖はなりたたないことに加えて、同じ大きさまで成長する時間も雌の方が短いのです。雄が多いことは養殖の事業化には大きなマイナス要素になるからです。
実はウナギの完全養殖においても、雌を以下に増やすかが重要な課題であり、その理由は雌の方が大きく、身も柔らかいからだとされています。そしてその雌化策については女性ホルモン(エストロゲン)に構造が類似した大豆イソフラボンが有効であるとのことでした。「のどぐろ」にもこの手はつかえないでしょうか?

食味においては、大変興味深いデータが紹介されていました。「のどぐろ」の食味については、「脂がのっていること」が重要な要因ですが、5年間にわたる膨大な調査の結果、脂ののり(脂肪分量)に関しては季節的要因よりも個体差が大きいことが判明したのです。巷で流布されている「のどぐろに季節なし」というのはあたっていることになります。(下図参照ください)

ただし、島根県浜田沖の「のどぐろ」は、他の場所の「のどぐろ」にくらべ有意に脂肪分含有量が多いことが明白です。また大きい方が小さいものより脂肪分が多いことも明らかです。残念ながら見た目では判断できないということなので、大きさで判断するしかないでしょう。しかし大きい魚は小さい魚より高いというのも事実ではあります。
この浜田沖の「のどぐろ」が脂がのっていることについては、のどぐろが食べているエビ、カニなどの甲殻類、小魚、イカのエサとなる「カラヌス」というプランクトンに含まれる脂肪が多いためであると書かれていました。エサのエサが脂肪をたくさん蓄えているからということです。

「のどぐろ」は日本の多くの海域で生息しており、水深100~200メートル、海底から4~5メートルのところにいる深海魚に位置付けられます。漁獲高では島根と山口が1位、2位です。また呼び名も全国でいろいろな名前で呼ばれているようです。「のどぐろ」がもっと手ごろな値段で食べられる日は近いようです。
