かんとこうブログ
2026.02.24
令和6年度の日本国の貸借対照表が発表されています
国富という言葉をご存知でしょうか?国全体(政府、会社、個人などすべて)が所有する資産から負債を差し引いたもの、つまり国全体の純資産にあたり、これを計算するためには国全体の流動資産と固定資産、負債、さらには国外に保有する対外純資産の数値が載った表が必要になります。こうした表がが毎年1月に内閣府から発表されていて先月令和6年分が発表になりました。(下記接続先)
2024年度(令和6年度)国民経済計算年次推計(ストック編)ポイント
国の貸借対照表も同じように財務省から発表されおり、こちらはさんざん言われているように負債が大幅に超過になっています(後述)。しかしながら民間や家庭も含めた日本全体では全く様相は異なります。2年前にも一度ご紹介したのですが、そのブログの閲覧数が最近増えているようで関心のあるか方が多いと思われましたので、より新しい情報として令和6年度分を以下にご紹介することにしました。
国富の計算表では、一般の貸借対照表とは異なる用語が使用されていますので、それを先にご紹介します。

左の枠の中、一般の貸借対照表では、資産から負債を差し引いたものは純資産ですが、この国民年次推計では正味資産(国富)となります。同様に固定資産は非金融資産、流動資産は金融資産となります。また右上の枠の中で①は資産を非金融資産と金融資産に分解したものであり、③は対外純資産が金融資産から負債を引いたものであることを示し、②は③式を代入したものになります。
さて前置きはこのくらいにして期末の貸借対照表をみてもらいましょう。
上の枠の中に説明があります。これ以上の説明はできませんが、要すれば日本国全体でみると純資産が4549兆円あり前年度から209兆円増えたということです。政府だけでみれば負債超過ですが、民間や家庭を含めて計算すると大きな資産があるということです。日本の人口で割ると3700万円/人となります。大変な金額です。
非金融資産、金融資産、負債、国富の平成6年からの推移を下図に示します。赤の点線が収支均衡線で、国富はずっとほぼ非金融資産と同じようなレベルで推移してきました。また負債と金融資産はほぼ連動して増減しています。資産残高は6年連続して増加、過去最高を記録しました。

次に、国富を非金融法人企業、金融法人企業、政府、家計に分解して推移を示します。

正味資産を分解するとそのほとんどは家計が占めており、6年連続の増加、一般政府も4年連続の増加、非金融法人企業も2年ぶり増加でしたが、金融法人企業だけは2年ぶり減少でした。ここでいう一般政府とは、国と地方自治体、およびそれらが運営する社会保障基金(厚生年金、国民年金、労働保険、共済組合、健康保険組合など)を意味しますので通常いう日本政府とはけた違いに大きな括りになります。2024年の家計の正味財産は3160兆円ですので、これもひとりあたりに換すると2570万円と大きな金額になります。
次に最も資産額の大きな家計の内訳推移です。

平成6年(1994年)と令和6年(2024年)を比較すると金融資産は約2倍に増加した一方で、非金融資産は逆に0.82倍と縮小したことがわかります。これもひとりあたりに換算すると2024年では金融資産が1840万円/人となります。
これら金融、非金融資産のうち多くを占める株式資産と土地資産の推移を示します。(内閣府のデータから作図)

土地は1994年の2038兆円から2013年の1248兆円まで半分近くまで減少した後、2024年では約3/4ほどまで回復してきました。株式は1994年の477兆円からリーマンショック時の375兆円まで減少しましたが、2013年以降急増し2024年では大幅増となり1262兆円と土地に迫る勢いです。
最後に対外負債と対外資産です。対外負債残高、対外資産残高、差し引いた対外純資産残高はいずれも増えて過去最高となりました。日本の対外純資産残高538兆円は、ドイツについで世界第2位です。(2024年に抜かれるまで世界1位でした)

ここまで日本全体の貸借対照表を見てきましたが、何か問題がありそうには見えません。一方で財務省が発表している国の財務書類のうち国のストック(資産、負債)では、国(政府)の貸借対照表としては、資産を負債が大きく上回り、699.9兆円の負債超過であると書かれております。
今日ご紹介してきた内閣府の資料の中で最も気になるのは一般政府の正味資産がプラスであったことです。単純にみれば、一般政府(国と地方自治体、およびそれらが運営する社会保障基金(厚生年金、国民年金、労働保険、共済組合、健康保険組合など))の全体では資産が負債を上回っているということだからです。
そこでもう少しこの一般政府の貸借対照表について調べたことをご紹介したいと思います。