かんとこうブログ
2026.02.25
一般政府とは、その中身と正味資産
昨日の続きです。昨日は国富(国全体の正味財産)をご紹介しましたが、その中で一般政府という区分があり、その正味財産(資産マイナス負債)はプラスの427兆円でした。
しかるに国の財務諸表という財務省のサイトでは正味財産は約マイナス700兆円となっていました。その差は1000兆円以上になります。一般政府とは何か、そしてその貸借対照表の内訳は?ということで調べ始めたのですが、基本的には徒手空拳で調べることは不可能と知りました。とは言えほぼ一日かけて調べたので、その内容をご紹介します。長いわりに結論は内容がないことを、あらかじめお断りしておきます。
まず一般政府の意味するところですが以下のように説明されています。国と地方自治体、およびそれらが運営する社会保障基金(厚生年金、国民年金、労働保険、共済組合、健康保険組合など)です。一応わかる範囲でこれらの各省庁、団体、機関の貸借対照表を調べてみました。

政府に関しては省庁別に一般会計+特別会計の貸借対照表が発表されていますので、これを一覧表にしました。

全省庁を合計すると資産が805兆円、負債が1504兆円、資産と負債の差額が698兆円となりました。負債のほとんどは国債でそのほかには借入金(総務省、経産省)があります。各省庁の資産と負債をグラフ化してみました。縦軸はそれぞれのグラフで異なりますが規模感はつかめるのではないかと思います。
負債を一手に引き受けている財務省の規模がダントツです。ついで年金・社会保障を管轄する厚労省、インフラ等に大きな資産をもつ国交省が大きな資産あるいは負債をもっています。

ここで一般会計とは税金などを主財源に教育・福祉など基本行政を広く行う「主たる財布」であり、特別会計は、特定の保険料や事業収入により特定の事業(年金、保険、道路整備など)を行う「副の財布」です。通常報道されている予算というのは一般会計の話であって特別会計についてはほとんど報じられることがありませんのでこの機会に全部の特別会計について貸借対照表を調べてみました。
特別会計は非常に数が多いのですが、資産、負債、資産と負債の差額について一覧表にしてみました。字が小さいのはご勘弁願います。

特別会計には、上段左から、交付税、地震再保険、国債整理基金、外国為替資金(がいため特会と呼ばれています)、財政投融資、エネルギー対策、国有林野事業債務管理、労働保険、特許、食糧安定供給、年金、自動車安全があります。多くの特別会計はさらに区分されており、それらを合算したものを黄色く色付けしてあります。連結というのは他の会計と連結する部分があるのですが、最終的な全体の合計には含まれていません。特別会計の合計は連結ではない方を合計しています。
上表の黄色い分を全部合計すると下表の右端の欄の数字となりました。しかしながらこの数字は、資料にある一般会計+特別会計から一般会計分を差し引いた数値に対してかなりの差があります。さきほどの連結との関係もあるのかもしれませんが、よくわかりません。

特別会計を個々にみていくと、金額の大きいものが3つあります。外国為替資金、年金、財政投融資でいずれも資産が100兆円を超えています。このうち外国為替資金特別会計は、多額のドル債権を保有しておりその差益についてしばしば取りざたされています。

この中で、年金については国民年金、厚生年金、健康保険などが入っており額が大きくなっていますが中でも大きいのは厚生年金です。その厚生年金ですが、特別会計の厚生年金勘定においては資産と負債がほぼ同じですが、連結をすると130兆円もの資産/負債の差額が現れます。これはどういうことかというと、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に厚生年金積立金の運用を委託しているためです。両者の資産と負債の関係をみればそれは想像できます。

厚生年金の100兆円を超える超過資産は特別会計には含まれていないことがわかりました。とここまでは調べられましたが、この先は多難です。地方自治体の全ての貸借対照表を合算した資料があればよいのですが、見つけられませんでした。試しに都道府県を調べるとそれぞれのHPに貸借対照表が掲載されていることがわかりました。試しに22都道府県の貸借対照表を調べてみました。(令和5年度と令和6年度が混在していますがお許しください)

東京都がその資産規模では群を抜いています。概ね人口に依っているように見えますが、それ以外の要因もかなりありそうな様相です。この表で見る限り負債超過は一つもありません。但し、これは一般会計であり、特別会計は不明ですので、実態をすべて表しているわけではないと思われます。これら22都道府県を全て合計すると資産104兆円、負債60兆円、資産負債差額がプラスの45兆円となります。人口から推定すると全都道府県ではこの1.5倍あたりではないかと思われますので、都道府県全体では65兆円ほどの資産超過が見込まれるということになります。市町村についてはギブアップしました。
さて一般政府に含まれるものはまだまだあります。社会保障基金のうち政府関係は政府の特別会計ですべてでてきていますが、健康保険については、自営業等の国民健康保険、中小企業の協会健保、大企業の健康保険組合、公務員の共済組合があり、これらすべてが一般政府の概念に含まれますので、一般政府の資産状況を調べるためにはこれら各団体の貸借対照表を調べる必要があります。が、しかしこれも調べてみて不可能と悟りました。調べられたのは下記だけでした。

公務員の共済組合は大きな資産超過(22兆円)でした。また協会けんぽの全国組織も5兆円の資産超過でした。都道府県の国保も二つほど貸借対照表を載せているところがありましたので載せておきましたが、差額はさほど大きくないようです。大企業の健康保険組合については全くお手上げでした。そのほか消防や警察といったところも手つかずでした。
ここまでで、中央政府に貸借対照表記載のマイナス699兆円を、一般政府の427兆円へと資産超過にする大きな資産が見つかりませんでした。せいぜい厚生年金関係の130兆円、都道府県の65兆円、健保関係の27兆円くらいでした。
あと思いつくのは日本銀行です。日銀の令和6年度の資産は730兆円ですがそのうち国債が576兆円あります。負債は724兆円でで、資産と負債の差額が6兆円に過ぎませんが、政府と連結すれば少なくとも政府の負債のうち日銀が保有する国債のうち576兆円分は消滅します。だとしてもまだまだ全部足しても約800兆円で、1100兆円には足りません。
手に余ることをやって中途半端な結論になり申し訳ありませんでした。以降身の程をわきまえます。