かんとこうブログ
2026.03.12
「2024年度塗料からのVOC排出実態推計のまとめ」からわかること その1
日塗工から「2024年度塗料からのVOC排出実態推計のまとめ」が発行されました。このまとめでは、各社が自社ブランドで出荷した製品の出荷量を日塗工の調査統計委員会が所定の方法により集計し、それを技術委員会が算出したものであり、実測値ではなく推計値です。塗料種類別、需要分野別に詳細な推計が行われているのは周知の通りですが、毎年自分なりの方法でVOC排出の推移を確認していますので、今年もそうした個人的な見方をご紹介したいと思います。
最初は需要分野別の①塗料出荷量、②VOC排出量、③VOC排出量/塗料出荷量%についての2017年年度から2024年度までの推移のグラフからご覧ください。①には希釈シンナーが含まれていません。 ②は希釈シンナーからのVOC排出量が含まれています。③は塗料出荷量に対するVOCの排出量%で、これが低いほど塗装時に排出されるVOCの割合が低いことになります。すなわち①はもちろん、②も出荷数量の増減の影響を受けますが、③は出荷数量の影響をうけないため、本当の意味でのVOCの増減がわかる数値となっています。

最下段に着目するとこの6分野では建物(建築)がわずかにVOCの放出が減少傾向ですが、建築資材は明らかに増加傾向、構造物(防食)、船舶、自動車新車、自動車補修は増減なしと判断されます。

同様に最下段に着目すると電気機械、機械、金属製品、木工製品は緩やかではありますが減少傾向にあります。残りの家庭用、路面標示、その他塗料は推移が不連続で一概に増減を判断できません。
以上ここまでをまとめると、単位塗料重量あたりのシンナー希釈を含めたVOC放出量は、建築、電気機械、機械、金属製品、木工製品で減少、建築資材で増加、構造物、自動車新車、自動車補修で増減なし、船舶、家庭用、路面標示、その他塗料で特定できずとなります。
次にどの重要分野からVOCが多く排出されているかについてを見たいと思います。上のグラフから中段だけを抜き出して、縦軸を揃えて並べてみました。

この分野別VOC排出量は出荷数量も大きく関係しますので、一番二番が建物、自動車新車であるのはある程度しかたない面もあります。ここには出荷数量自体の増減も関係してきますので、上のグラフの最下段に比べると減少傾向を強く感じます。実際塗料全体では、出荷数量は2018年(暦年)を1000とすれば2024年は86.1となりますので全般的に減少しているのが自然です。そうした中で建築資材だけが排出VOCを増加させているのが目を引きます。出荷数量はほぼ横ばいですので、やはり排出VOCが増えているのです。
次に冒頭のグラフの最下段を縦軸を揃えて描いてみました。ちょっと予想と違う順番になっているのではないでしょうか?この%はいわば、単位塗料重量あたりのVOC排出量ということになります出荷数量の多寡は関係なくなりますので、自動車補修、木工製品と言った普段は統計で上位に出てこない分野が上位に顔をだします。建物は、超優等生の路面標示に次いで下から2番目で、自動車新車も低い方から5番目であり、VOC対策はこれまでそれなりになされてきているということが判ります。

この図は「2024年度塗料からのVOC排出実態推計のまとめ」に掲載されている需要分野別の低VOC塗料比率のグラフを上下ひっくり返したような関係にありますが、絶体量を見るのであればこちらの方がより正確であると思っています。
さてこうした推移の解析には需要分野別に使用されている塗料種の変化を調べる必要があります。明日は重要分野別の使用されている塗料の変化についてご紹介します。