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かんとこうブログ

2026.03.18

石油備蓄放出で、日本の石油製品は充足できるのか?

16日から備蓄していた原油が放出されました。また19日からは政府のガソリン、軽油、灯油に対するガソリンの補助金が支給開始となります。が、実際にガソリンスタンドの価格に反映されるには4-5日はかかるとのことでした。原油の先物価格が上がっただけで20円、30円と即日値上げをするくせに、値下げの方は実際に安いものが入ってくるまで値下げしないというのは、どうなのでしょうか?

それはともかくこの原油放出について気になっていることがあります。それは日本は原油だけでなくナフサも輸入しており、それもかなりの量であり、原油同様に中東依存率が高く、ホルムズ海峡依存率は76%もあるからです。今回の備蓄放出はあくまで原油だけですので、輸入ナフサの代替とはなりません。そこで今回放出される原油を日本の製油所で精製したとしてどのくらいの石油製品が供給できるのかを計算してみました。

まず国産と輸入ナフサの数量、割合です。国産4割、輸入が6割となっており2024年で2056万KLのナフサが輸入されています。以降の資料は石油化学工業会のサイトから資料を引用いたしました。

石油製品の製造工程は上図にしめすような工程になります。まず石油精製工場で沸点ごとにいくつかの成分に分けられます。(下図)

30℃から180℃の間に蒸留により取り出されるのっがガソリンとナフサであり、このうちのナフサから石油化学製品が作られています。他の成分はさまざまな燃料として使用されます。一方石油製品の割合は、ガソリンが31.4%、ナフサが24.9%とこの2者が需要の1位2位です。

ところで原油を分留してでてくる成分は上図右の円グラフの割合とはずいぶんと異なる数値です。

このギャップをどう埋めるのか?それは分解と言って、蒸留で出てきた成分をさらに分子量の小さなものに分解します。代表的な分解装置として流動接触分解装置(FCC)や水素化分解装置があります。このような装置を使えば、重油の80%くらいをガソリンや灯軽油、LPGに転換することができます。こうして原油から蒸留、分解などのプロセスを経て需要にみあった石油製品が製造されるのです。

これでナフサを輸入できなくとも、原油から需要にみあった製品群を製造することができることがわかりました。

ここまでの数値を整理してみましょう。

①まず現時点で石油備蓄量は254日(約8カ月)分あります。この数値から1日分を計算すると②29万1330KLとなります。またこの数値から1年間の原油必用量を計算する③1億632万KLとなりますが、これは輸入の実数からみて少ない数値です。この③に輸入ナフサの⑤を足すとほぼ④になります。たまたまなのか、これで間違ってないのかはわかりません。

ガソリン消費量は年間4450万KL⑥であり、一日あたりで49万4500KLとなります。一方日本の19か所の精油所の処理能力は49万4500KL/日⑧あり、放出量1日分の29万1300万KLを軽く上回ります。ただし、ナフサの分までカバーしようとすると、通常より多くのナフサやガソリン成分を生産する必要があり、分解工程を通常よりも長くかかるのかもしれません。ともかく、原油備蓄放出によりなんとか石油製品の供給が可能になることだけは判りました。

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