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かんとこうブログ

2020.06.26

東京都の感染者数・・心配な点とそうでもない点

都道府県をまたぐ往来の制約が解除されてから1週間が経ちましたが、全国の感染者数は一旦落ち着いているようにも見えます。その中で東京都だけは突出して新たな感染者数が多く増加傾向にあるように感じられます。そこで今日は東京都の感染者数について調べたことを書くことにします。データは今朝の段階での数値で、感染者数は625日まで、PCR検査数および陽性率については624日までのデータで、いずれも東京都の数字を引用しました。

まず最初に7日間の移動平均による新たな感染者数の推移です。51日からプロットしています。そしてその数字をもとに実行再生産数を計算して図示してあります。実行再生産数については、前回掲載した54日付ブログ記載の通りの方法で計算しました。(詳しくは関塗工情報ライブラリーでご覧ください)

上が移動平均での新規感染者数の推移です。520日頃を底に、次第に増加してきており、まもなく解除見直しのボーダーとされる一日の感染者数50名に近づく勢いです。一方で、とんと報道されなくなった実効再生産数ですが、こちらは、新規感染者の増加に先行するかたちで上昇してきており、514日以降1を上回っています。ただ、3月時点の数値に比べればまだまだ低い数値で留まっており、爆発的拡大には至っていません。

一方で、PCR検査における陽性率と検査数についてみると少し意外な結果となっていました。まず、PCR検査の陽性率と陽性者数の関係について見てみます。これらの数値には、退院検査のための結果は含まれていないと記載されていましたので、新規感染者を検出するためのPCR検査だけのデータです。なお新宿の集団検診関しての記載はなく、このデータに含まれているかどうかは不明です。

陽性率に関して東京都は新規感染者と同様7日間の移動平均で示していますので、PCR検査の陽性率と陽性者(新規感染者)の両者の移動平均値をグラフ化し相関係数をとってみました。(なお、相関系係数は、PCR検査数が大幅に増加した以降すべて510日以降のデータに限定して計算しています。)R2=0.7590とゆるやかな相関があるとの結果でしたが陽性者の増加率に比べて、陽性率の上昇は緩やかに見えます。陽性者の棒グラフで色が赤くなっているのは土曜と日曜および休日を表しています。

右の図は、陽性率と陽性者数の両方の数値をその日毎の実数を使ってグラフ化したものです。さすがに出入りの忙しいグラフになりますが、傾向は変わりません。相関係数は0.5212と大きく下降しました。

次にPCRの検査数と陽性者数について上と同様にグラフ化してみました。

左は、PCR検査数、陽性者数の両者とも移動平均の数値を使った場合、右は実数を使った場合です。こちらは先ほどとは違い、陽性者の増加は、ある程度PCR検査数の増加に沿って増加しているように見えます。左のグラフの相関係数は0.8を超えています。PCR検査は5月の連休明けから一挙にその数が増加しました。6月では一日あたり2000件に達するところまで近づきました。4月の検査件数に比べると雲泥の差です。

計算上、陽性者(新たな感染者)=PCR検査数×陽性率の関係にあるわけですが、グラフをじっと眺めてもらうと、510日以降の陽性者の増加が、主として検査数の増加によるものだということがおわかりいただけると思います。

もちろん、検査数がこれだけ増えているのにも拘わらず、陽性率もわずかとは言え上昇しているということは、それだけ感染が拡大を続けているということではありますが、以前にくらべれば、より高い確率で感染者を検出できるようになったとも言えるのではないでしょうか?特に軽症者、無症状者の捕捉率があがったのではないかと思っています。

ここでまとめると、心配な点は、PCR検査数が大幅に増加しているのに、陽性率が下がっていないこと、そうでもない点は、新規感染者が増え続けているが、陽性率がさほど上がっていないということになるのではないかと思います。

毎日の新規感染者数の動向に一喜一憂せず、データを総合的に見ていきたいと思います。中でもPCR検査の件数と陽性率には注目していきたいと思っています。

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