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かんとこうブログ

2020.07.31

日米の GDP に関する話題

昨日、時を同じくして日本とアメリカの今年のGDP成長率に関するニュースが流れました。今日はこの話を書きます。

日本の方は、内閣府が、今年のGDP見通しについて通年で-4.5%であると経済財政諮問会議に資料を提出したという内容です。その内容については下記に示しますが、年初の見通し+1.4%から大幅に下方修正されたことになりますが、1月以降のコロナ禍の状況を見ている限りにおいては、果たしてそんなもので収まるのかという感じをうける数値でした。


令和2年第12回経済財政諮問会議
提出資料 資料3-1 令和2年度内閣府年央試算(ポイント)(内閣府)より引用

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0730/shiryo_03-1.pdf

この図の説明は以下のように書かれています。

GDP成長率については、感染症の影響による落ち込みから、段階的な経済活動の引上げに伴い持ち直しに向かい、「新たな日常」が定着していくなかで、各種政策の効果もあって、2020年度は実質で▲4.5%程度、名目で▲4.1%程度、2021年度は実質で3.4%程度、名目で3.5%程度と見込まれる。
(注)2020年秋に海外で感染症の大規模な第二波が生じるという国際機関(OECD、世界銀行)のシナリオを基に実質GDP成長率を試算すると、2020年度:▲5.0%程度、2021年度:3.0%程度と見込まれる

要すれば、この数字はこれから経済活動が回復していき新しい日常が定着するという前提での数字で、第二波の感染がくればさらに0.5%程度下がりますよと言っているわけです。この試算の前提が、円ドルの為替が一定、原油価格も一定、消費税増税分はそのままプラスに換算となっており、本当にこの通りに行くよう祈りたくなるような気持ちになります。ちなみに日本の1-3月の実質GDPは年率換算で-3.4%、二期連続のマイナスでした。

一方では大変ショッキングなアメリカの第2四半期(4-6月)のGDP成長率の数字が報告されました。4-6月の年率換算のGDP成長率が-32.9%であり、第2時世界大戦以降最悪の数字であり、リーマンショック時の最悪値である-8%台を大きく上回り、大恐慌並みの水準と報道されました。項目別ではGDPのおよそ7割を占める個人消費が-34.6%、企業の設備投資が-27.6%、輸出が-64.1%と大幅な落ち込みでした。ちなみに、アメリカの1-3月のGDP成長率は年率換算で-5.0%でした。(以下のサイトから内容を引用)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200730/k10012542211000.html

それではここで、世界的にはどのような見通しになっているのかを見てみましょう。世界銀行が7月28日に出している資料に今年を含む前後合わせて5年間の実績と見通しが示されています。2017-18年は実績、2019年は推定、2020-21年は見通しです。

今年は大きく落ち込み、来年は回復というパターンは各国・地域とも共通していますが、落ち込みの程度は国によって大きく異なります。先進国と新興国で先進国の落ち込みが大きく、先進国の中ではEUが最も落ち込んで-9.1%、日本とアメリカは-6.1%との見通しです。東南アジアでは、感染症対策に成功したベトナムは+2.8%と最もダメージが少なく、ついでインドネシア、フィリピン、マレーシアと続きタイが最も落ち込みが大きく-5.0%となっています。BRICSの中では、いち早く制圧に成功した中国が唯一マイナス転落を免れましたが、あとの3か国はいずれも感染が拡大しており、この通りにいくのかは大いに懸念されます。

懸念されると言えば、先ほどのアメリカの4-6月のGDP成長率の数値です。年率換算で-32.9%であり、1-3月が-5.0%であったことも合わせて考えれば、よほど本年後半で目覚ましい回復がないと世界銀行の-6.1%に抑制することは難しいように思えます。ニューヨーク市では徹底したPCR検査のおかげで感染が終息方向にありますが、アメリカ全土ではまだ感染が蔓延している状況です。

蔓延していると言えば、日本の状況も楽観視できるものでなく、冒頭述べた-4.5%程度で果たして収まるのかどうかは、決して楽観できないのではないかと思われます。

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