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かんとこうブログ

2020.11.11

景気ウオッチャー調査の違和感

一昨日のニュースで、景気ウオッチャー調査10月の結果で、現在の景気を示すDI値が、久しぶりに50を超えたと報じていました。これには大いなる違和感を覚えました。なぜならつい先日このブログで消費動向調査の結果を紹介したばかりで、緩やかな回復続くと見出しをつけたものの、コロナ前にはまだ遠いと思っていたからです。ずいぶんと結果が違うことに驚き、両方の調査結果を比較してみました。今日はそのことを書きます。まずはどれだけ違うかを見てもらいましょう。

左側の「景気ウオッチャー調査」も右側の「消費動向調査」もどちらも内閣府の調査です。上の図表は、10月の調査結果を並べてみたものです。似たようなグラフが並んでいると思われるかもしれませんが、縦軸の値が全く違います。また、「景気ウ・・」の方はDI値がコロナ前の水準に戻っていますが、「消費動・・」の態度指数はコロナ前には戻っていません。実はこの両調査、DI値も態度指数も計算方法は同じです。下に「景気ウ・」のDI値計算方法を示します。

計算方法は同じですが、質問内容が若干異なっており、「景気ウ・・」が、現在と将来にわけて聞いているのに対し、「消費動・・」は今後の暮らし向きの見通しを聞いています。上で紹介した「景気ウ・・」のDI値は、現在に対してのものです。ここにも両調査の結果に差が出る要因が潜んでいます。

この図表は、「景気ウオッチャー」で現状と先行きの景況感の差を示しています。似たようなグラフに見えますが、10月の調査結果では右の先行きのDI値の方が、左の現状のDI値よりも5ポイントほど低くなっています。つまり先行きの方が景況感が悪いのです。しかし、これだけでは。「景気ウ・・」と「消費動・」の大きな差は埋まりません。とすればやはり、調査対象の構成が気になります。

この表は、両調査の調査対象者の内訳を示したものです。「景気ウ・」の方は、「経済活動項目の動向を敏感に反映す減少を観察できる」人であり、具体的には、小売業や旅行・レジャーなどのサービス業、企業関係者などから成り立っています。言いかえると、生活者より事業者としての視点で物をみている人たちと言えます。一方、「消費動・」の方は、あくまで消費者として選定しています。おそらく、両調査の調査結果の大きな差異は、この視点の違い、事業者と生活者の差によるものではないかと考えます。

しかしそうであれば、メディアはもう少し丁寧に報道する必要があります。「景気ウ・」の報道だけを聞いた人は、「景気がコロナ前にもどった」と思ってしまうかもしれませんが、それは生活者の感覚からは離れているからです。長年実施している調査であり、名前からして調査結果の意味合いは明確ということかもしれませんが、ミスリードを与えかねない内容になる可能性が大です。

今回の「景気ウ・」の報道では、景気が回復した理由として「Go to トラベル」や「Go to イート」が挙げられているのを聞いて、そこでも違和感を覚えましたが、回答者の中に旅行業の人たちがたくさん入っているのを見てさもありなんと思いました。」メディア、特に公共放送には誤解をさけ、バイアスをかけない配慮を心がけてもらいたいと思います。

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