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かんとこうブログ

2020.12.01

自動車産業は他産業よりも回復が早い?

昨日10月の日本の自動車メーカーの生産台数をご紹介し、10月生産も順調に回復を続けており、多くの会社は前年同期比を上回ったと書きました。今日はその回復ぶりをリーマンショックの時と比べてみた結果をご紹介します。リーマンショック時とは時代背景も経済環境も異なるので比較しても意味がないと言われる方もいらっしゃるかもしれませんが、少なくともこの60年ほどを見たときに、今回のコロナ禍に最も状況が似ているのはリーマンショックであり、比較的最近のことでもあり当時を経験した方もまだ多く働いていらっしゃるかと思われるので、なにがしかの参考になればと思って書いております。 

比較のためには時間尺を合わせる必要がありますが、基点をいつものようにリーマンショックは2008年9月リーマンブラザース破綻の月、コロナ禍は日本で初めて感染者が発生し、武漢の感染が大きく報道された2020年1月をとりました。日本自動車工業会が公開しているデータから作成した乗用車生産台数の推移と前年同月比の推移のグラフを示します。

上が生産台数、下が前年同月比です。青線がリーマン時、赤線がコロナ禍です。見ていただきたいのは、基点(0か月)から回復するまでの期間です。

それ以前の水準をどこにとるかというのもは簡単な問題ではないのですが、仮に0か月時点の数値を基準にすれば、上の図の生産台数に関してリーマンの場合にはその数値に回復するには18か月ほどかかっています。一方、今回のコロナ禍では、9月には回復をしていますので回復までに要した期間は8か月ということになります。

前年同期比でみるとその差はやや縮まります。生産台数の時と同様に回復するまでに要した期間を見ると、リーマン時が14か月、コロナ禍が8か月となりました。この前年同期比が14か月以降急上昇したのは、その1年前がリーマンショック直後にあたり、大きく落ち込んでいたため前年同期比が大きくなったことが最大の理由であり、実際には生産台数の方が実態を正しく現わしているものと思います。

ところで、こうした回復の早さは他の産業と比べてどうなのでしょうか?比較するデータとして、10月2日に掲載した日銀短観に関する記事の中から、産業別のDIのグラフを示します。

これは塗料に関連の深い産業のDI推移をリーマン時とコロナ禍で比較したもので、基点のとり方は日銀短観が3か月毎のため、リーマンは2008年9月と同じですが、コロナ禍は2019年12月にしており、さきほどの場合とは1か月ずれています。このグラフでは赤線がリーマン時、青線がコロナ禍です。

この6枚のグラフを比べると自動車産業は、影響をうけてダメージも大きかったものの、回復するのも他の産業よりも早いように見えます。その理由の一つとして、安全な移動手段としての自動車需要の高まりが考えられます。先日の三連休でも、電車や飛行機を避け、車を移動手段として選んだ人は多かったように感じました。

最後に今年に入ってからの販売台数の推移を見てみます。日本自動車販売連合会のデータを引用しています。


実のところ、販売台数は生産台数と連動しています。ほぼ同様な動きと言ってよいと思いますが、販売台数も比較的順調に回復してきていると言ってもよいのではないでしょうか?

以上結論として、自動車産業の回復は他の産業に比べて、落ち込みは大きかったものの、回復は早いと考えられます。ただしこれはあくまで現時点までの話であり、今後の動向は感染症次第であることは言うまでもありません。

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