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かんとこうブログ

2021.02.05

感染と人流の関係について

2回目の緊急事態宣言が出されてから、まもなく1月となります。この間ようやく感染は減少に転じて峠を越えた感があります。ワイドショーのコメンテーターから、この緊急事態宣言でとられた対応策が有効であったのか検証する必要があるとの指摘も出ています。

どのようなデータがあればそうした検証が可能なのかどうかは素人にはわかりませんが、公開されているデータでどこまで検証が可能なのか試みたいと思います。と言っても東京都における感染のデータとアグープが公表している人流のデータを比べるだけのでことですが、しばしお付き合いください。感染のデータは東京都の特設サイトから、人流のデータはアグープのサイト(下記)からです。

https://corporate-web.agoop.net/pdf/covid-19/agoop_analysis_coronavirus.pdf

まず感染に関して、三つの指標となるデータを示します。

左から、新規感染者数(7日間の移動平均)、PCR陽性率、実行再生産数(7日間の移動平均)です。この3つの指標のピークを見ると、新規感染者数は1月の8日、PCRの陽性率では13日、実行再生産数では1229日となります。新規感染者数は良く知られているように、東京都に報告された日付であり、PCR検査を受けた日から3日ほど経過した日付になります。一方PCR検査の日付は、検査を行った日付で集計されています。そして実行再生産数は、実際に他の人に感染させたと想定される日付で計算されます。以上を総合すると、感染のピークは年末の1230日前後というのは最も妥当でると考えられます。これを踏まえて、人流の推移をみてみましょう。

 

アグープでは、東京の中で18カ所の人流データを公表しています。このうち12カ所の12月と1月の人流データをご紹介します。縦軸はそれぞれバラバラな値ですが、ポイントは大晦日付近を境に人流がどのように変化したかという点に注目してください。

 

いくつかの地点では、正月休みを意味する急激な谷間がありますが、渋谷センター街や、浅草駅、羽田空港、お台場のように明確なブランクのない箇所もあります。

 

それにしても、全体を眺め渡して、12月から1月にかけて、人流が減少していることは確かですが、半減とまでは全然至らず、せいぜい2-3割程度の減少ではないでしょうか?

8割おじさんの異名をとった京都大学の西浦教授の計算では、この程度の人流の減少では、感染拡大は抑制できなかったと記憶しています。しかし、現実には間違いなく、感染はピークアウトし減少に転じているのです。

正月休みの存在、濃厚接触者を必ずしもすべて追えなくなったこと、人々がより注意深く行動するようになった、さらには飲食店の時短営業が効果的であった、などなどいろいろ減少に転じた要因について意見が出ているようですが、飲食店の時短営業だけでは、年末の転換点は説明できないように思います。

大変難しいことではあると思いますが、科学的な検証を行い、感染拡大時の抑制についてどの要因がどれだけ寄与しているのかを是非とも明らかにしていただきたいと思います。

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