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かんとこうブログ

2021.03.18

IEAレポート2020が語る世界のエネルギー事情

先日の朝日新聞にIEA(国際エネルギー機関)が発表した世界のエネルギーに関する報告書の内容が紹介されていました。2020年は、コロナウイルスによる経済停滞で、世界的に電力需要も低迷し、結果として再生可能エネルギー比率が高まったということでした。日本の再生エネルギー比率も2019年の18.6から21.7%に増加し、2030年時点の目標としていた再生可能エネルギー比率22-23%が実現可能な数値としてとらえられるようになったとも紹介されていました。

昨年の上期(1-6月)が終了した時点で、IEAのレポート内容をご紹介しましたが、幸い今回もダウンロードできましたので、新聞が伝えなかった世界のエネルギー事情をご紹介します。(詳しくは下記URLからご覧ください)

https://www.iea.org/reports/monthly-electricity-statistics
気になる各国の再生エネルギー比率ですが、基本的には昨年6月終了時点で変わりません。日本はデータが開示された国の中では下位に甘んじていることには変わりありません。

すでに電力に占める再生可能エネルギー比率が50%を超える国はたくさんあります。一方で、日本とさほど変わらない国もオーストラリア、フランス、アメリカと少なくありません。これらの国の再生可能エネルギー比率がこうした水準である理由はその内訳をみればある程度理解できます。すこし細かくなりますが、各国の発電にしめるそれぞれのエネルギーの内訳一覧表を示します。

この表の数値を数字の大きさ別に色付けしてみました。高い数値ほど濃い色にしてあります。目を細めて全体を眺めていただくと、色の濃い部分が左上から右下にかけて斜め方向に分布していることがわかると思います。この表は再生可能エネルギー比率の高い順に上から並べていますので、このようになるのは当然なのですが、ここから当たり前ともいえる全体の傾向を述べることができます。

再生可能エネルギー比率の高い国、特に過半数を上回る国は、水力と風力のどちらか、または合計が50%を超えているということが一つ目、反対に再生可能エネルギー比率が30%に満たない国は、石炭、天然ガス、原子力の3つのうちの2つの合計が過半数を超えているということが二つ目です。個々の国の内訳を見るとそれぞれの事情もさらに見えてきます。典型的な12か国の内訳をご紹介します。

グラフの赤い小さ矢印は、再生可能エネルギーと非再生の境界を示しています。

アイスランドは100%再生可能エネルギーですが、その源は水力と地熱の二つだけです。地理的・資源的に恵まれています。ノルウエーとブラジルも豊富な水力に支えられています。デンマークは小さな国で大きな川もないのですが、代わりに洋上風力発電に適した海があり、過半数を風力発電で賄っています。スイスも水力が主力ですが、同時に原子力もかなりの量を使用しています。こうした再生可能/原子力併用型の国としては、フィンランドやスロベニアを挙げることができます。ポルトガルは水力と天然ガスの2本柱で、ヨーロッパの国では、多いパターンでイタリア、トルコなどもこのタイプです。ここには示しませんが、ヨーロッパの国のもう一つの特徴はバイオマス発電が多いということです。かなりの国でバイオマス発電の比率が10%を超えています。

ドイツは原子力発電収束にむけて他のエネルギーを増やしていますが、水力に恵まれないため、風力が主力で太陽光とバイオマスも併用しています。ドイツと言えば太陽光発電のイメージが強いのですが、太陽光発電の比率は10%に達しません。上表で太陽光発電が10%を超えているのはギリシャだけで、日本の9.3%は世界でも太陽光発電比率としてはトップクラスであることがわかります。

中国は意外にもというと失礼ですが、日本よりも再生可能エネルギー比率が高いのです。これは水力発電量がそれなりにあるためです。ただ一方で石炭火力の比率も60%を超えています。こうした内訳はインドも同様です。フランスは、原子力大国で過半数を原子力発電で賄う世界で唯一の国です。火力の割合はとても低いので実際のCO2排出という点では、非常に少ないと言えます。

日本を飛ばしてアメリカを見ると、アメリカは再生可能エネルギー比率が意外に低いことに驚きます。主力は石炭、天然ガス、原子力です。その気になればもっと水力も風力もできそうなものですが、それなりの事情があるのでしょうか?

最後に日本ですが、右下の世界平均(と言っても上表にある39か国の単純平均です)と比べると、石炭、天然ガス、太陽光の比率が高く、水力、風力の比率が低いことに気が付きます。再生可能エネルギー比率の高い国がすべからく、水力か風力のどちらかまたは両方を多用していることを思うと日本の課題はここにあるように思います。もちろん、地理的、気候的な問題があり、技術的に大変であることも理解しつつも、太陽光以外の再生可能エネルギーについても飛躍的に増大させる手立てを考えることが2050年にむけても最重要課題ではないかと思えてしかたありません。水力には限度があることは目に見えていますので、風力に加え、地熱やバイオマス、さらには潮流などにも飛躍的な増大を期待したいというのが、IEAレポートを読んだ感想です。 

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