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かんとこうブログ

2021.05.21

前年同月比大幅増加なれど、前々年同月比は100に達せず・・日塗工業況観測アンケート4月分

昨日、日塗工から業況観測アンケート4月分の結果を受領しました。それによると4月の前年同月比は販売数量が108.6,金額が111.5という高い数字でした。まずは、最近16カ月の需要分野別前年同月比一覧表をご覧ください。

このような高い数値になったのは自動車が金額で136.3,電機・機械・金属が108.1,建築が109.1と軒並み高い数字を記録した分野が多かったことによりますが、実はここが前年同月比の怖いところなのです。前年同月、すなわち20204月がどんな状態だったかと思えば、第1次緊急事態宣言が出され町から人が消えた月であり工業生産が著しく落ち込んだ月であったわけです。20204月の自動車は75.5、電機・機械・金属は91.6、建築は88.3とかなり低水準であったわけで、この前年価をもとにして多少高い数値でもはたして本当に平年以上なのかは判断できません。ということで、前々年同月比も計算してみました。上の表の一番下に載せていますが、なんと前々年同月比では、自動車と木工以外は100に達しないのです。つまり見かけの数字は良くても実質は平年値以下ということです。

前年同月比が、基準足りうるのはあくまで平時の話であり、非常時には基準足り得ないのです。前年同月比と前々年同月比の比較を下に示します。

昨年の10月以降、前年同月比と前々年同月比の乖離が認められる傾向にありましたが、前年同月比の基準が4月になるに至り大きく乖離するようになりました。こうした現象は実はリーマンショック時にも起きています。需要低迷が1年以上継続すると、13カ月めからは低水準が基準になるからです。そういう目で下のリーマンVSコロナの対比図をご覧ください。

船舶・構造物を除き前年同月比は13カ月目からは、上昇し始めていることがわかると思います。昨年5月はさらに需要が下落した月でした。ますますこの傾向が強くなります。見かけの数字にとらわれず、冷静に見ていく必要があります。

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