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かんとこうブログ

2021.10.20

選挙戦に30年を振り返る

いよいよ超短期決戦の衆議院選挙の戦いが始まりました。各党それぞれの公約を掲げてこれからの日本のかじ取りを行う意気込みを示しています。自民党の岸田総理の基本政策は「成長と分配」のようです。成長の見込める分野に適切に投資をすることで成長を促し、そこで得られた果実を国民に分配するというような趣旨であると理解しました。他の政党の話も聞いた上での感想は、本当に各党が言うほど簡単に経済はよくなるのであろうか?ということでした。今日は1990年からの日本のGDP成長率について振り返ってみたいと思います。今は忘れているかもしれませんが、この30年、日本のGDP成長率は世界の最低レベルでした。

下の図は、1991年から2020年まで各国実質GDPの推移を、1990年を100とした指標で表したものです。日本は1990年を100とした時に、2020年のGDPの数値が125となり、これは12か国中最低です。また世界の平均、先進国の平均と比べてもかなり低い数値となっています。グラフの中に赤い矢印で示した一番下にある線が日本です。縦軸は対数目盛になっており、最も成長の大きかった中国は30年間で約14倍ほどに成長しています。

データは下記のサイトから引用し、作図しました。(「ファイナンシャルスター」)

https://finance-gfp.com/?p=145

バブル崩壊後、失われた10年、20年など様々な言い方で表現されましたが、日本のGDPは世界の成長に取り残されているというのは厳然たる事実です。ここまでは、単に毎年のGDP成長率の数字だけで見てきました。これは為替の影響がないので自国通貨単位での成長率です。

一方、世界ランキングで比較されるGDPは、比較のために基準通貨に換算する必要があり、通常US$に換算されています。上のグラフと同じスパンでの各国データが探せなかったので、2010年と2020年の名目GDPで比較してみることにしました。この換算にはその年の為替レートが使用されています。US$に換算した名目GDPの数値で比較すると日本はこの10年間でかなりのマイナス成長となります。

数値は世界経済のネタ帳から引用作図
この10年間で大きく成長したのが中国とアメリカ、インド、インドネシア、逆に換算GDPを減らしたのが、日本、ブラジル、ロシア、南アフリカでした。2020年はコロナで痛めつけられた特別な年だからという意見もあろうかと思いますが、2019年で比べても同様です。2019年の日本の換算名目GDP51360億$と2010年よりも大幅に減っています。減少した原因は、円安に転じたことが主要因であったと思われますが、そうだとしても世界から見ればGDPの規模が縮小したと見えるでしょう。

国全体のGDPが減少したので、当然一人当たりのUS$換算のGDPも減少しています。

左の図(先進国)と右の図(新興国など)では縦軸の目盛りが違いますので、数値を表記しておきました。日本の一人あたりGDPはこの10年で約1割減少したというように海外からは見えることでしょう。

日本の課題はそれだけではありません。人口の減少です。この12か国の中でこの10年間で人口が減少している国は日本だけでした。

新興国の急速な経済成長の原動力は、人口構成において労働力人口が豊富なことです。15歳から64歳までの労働人口がそれ以外の年齢層の人口の2倍以上であるとき、人口ボーナスと言って爆発的に経済が成長すると言われています。上の図は、日本の少子高齢化問題が、他の国と比べて一段と深刻であることを示しています。将来人口減少が予測される中国も今のところまだ人口減少が始まっていません。

日本の経済復興が単に消費の刺激だけで解決するようには思えません。金融緩和も、公共事業も、公共事業の民営化も従来的手法はやりつくした感のあるこの30年のGDP成長率を見ると、問題の深刻さを再認識せざるを得ません。

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