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かんとこうブログ

2021.12.02

横浜ベイブリッジとレインボーブリッジ

現在大学で講義中の「塗料塗装工学概論」は、各需要分野別の塗料の講義に入りましたが、先週は「防食塗料」について説明しました。先週ご紹介した「国家石油備蓄基地」をはじめ、歴史的な建造物についてその建造物そのもののエピソードやと建造時の塗装仕様や補修塗装の話などを講義で紹介しました。餘部橋梁、東京タワー、本四架橋、東京スカイツリー、墨田川にかかる橋、を取り上げていき、最後はこの「横浜ベイブリッジ」と「レインボーブリッジ」について説明をしました。どちらも首都高速道路を代表する大きな橋ですが、供用開始に4年の差があるため、そのため使用された上塗りが異なっており、現時点で比べると耐久性という観点では興味深い比較ができるという話をしました。今日はこの話をご紹介いたします。

まずそれぞれの橋の概要を首都高速道路株式会社のホームページから引用した資料でご紹介します。



この二つの橋が建てられた時期がちょうどウレタンからフッ素に移行した時代であり、両者の塗装仕様は上塗りが異なっています。無機ジンクリッチプライマー+エポキシ樹脂塗料までは同じですが、上塗りは横浜ベイブリッジがポリウレタンで、レインボーブリッジがふっ素です。この両者の塗装については、補修履歴においては大きな違いが出ています。(下図)

横浜ベイブリッジは、供用開始20年後の調査で劣化開始が認められ、供用開始25年後の20014年に全面補修されました。一方レインボーブリッジは供用開始26年後の2019年、東京オリンピックを前に調査が行われ、部分的に補修が行われることになりました。。その時点の塗膜状態に関しては、上図中記載の文献(レインボーブリッジ主塔の塗装補修)において以下のように記載されています。

レインボーブリッジは、1993 年の完成から 26 年が経過した 2019年まで主塔および補剛桁の塗替え塗装をしていないことから、局所的に塗膜が劣化していた。そのため、特に美観を損ねていた主塔部の劣化については 2020 年の
東京オリンピック・パラリンピック開催までに補修することにした。

特に塔柱の南側にあたる港外側の劣化が顕著であったことと、お台場海浜公園からの景観を考慮し、両主塔の港
外側と、東側にあたる台場側の面を重点的に補修することにした。

この記述に「特に塔柱の南側にあたる港外側の劣化が顕著であった」と記載されており、やはり日射量の多い南側が劣化していることがわかります。その他の部分については現在に至るまでそのまま供用が継続されており、すでに供用開始から28年が経過しました。

レインボーブリッジにおいては、もう間もなく30年経過したふっ素上塗りの塗膜が観察できることになります。果たしてフッ素樹脂上塗りを使用した重防食塗装仕様の30年耐久性はどのような評価を受けるのでしょうか?

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