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かんとこうブログ

2022.04.18

感染は今、増加か?それとも 減少か?

このところ新規感染者が増加しているのか、それとも減少しているのかわかりにくい状態が続いています。一進一退というところなのでしょうが、本当のところどう見るべきか、データを見ながら考えてみました。今日ご紹介するデータはすべて東洋経済オンラインのコロナ特設サイトからの引用です。

https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/?msclkid=46a6ec6cbeab11ec80cfaf7d8d2c3e29

私は感染傾向を見るのにいつも実効再生産数を重視していました。理由は二つあります。一つめは、実効再生産数は、一人の感染者が何人の感染者を産み出しているかという数であり、最も感染傾向をストレートに表している数値であると考えるからです。実効再生産数が1.0を超えると感染拡大、1.0を下回れば感染縮小、1.0であれば現状維持なのですが、この実効再生産数が、2月中旬以降2か月ほど1.0付近に張り付いて動いていないのです。こうした現象は今までありませんでした。毎日の感染者はかなりの数で出ているのに、実効再生産数は変わらない・・したがって大まかにみれば現状維持が長く続いている・・これが現在の状態です。

全国の実効再生産数は、2月中旬以降ほぼ1.0の付近に張り付いているのがわかると思います。よく見るとそれでも2月中旬から3月下旬まではわずかではありますが1.0以下を下回り、その後1.0を上回り最新の416日時点で1.00となっています。

実効再生産数を重視する理由の二つ目は、この推移から、その先の感染傾向を数学的に予測できることです。上グラフ右端の昨年12月中旬から下旬を見ると、実効再生産数が2付近まで上昇しており、1月以降の感染急拡大に繫がっています。この例に倣えば、まだ現時点で感染急拡大の兆候は見えていないということになります。

こうした実効再生産数の停滞は全国の数値だけではなく、これまで感染者数が多かった大都市圏などの都道府県別で見ても同じです。

グラフが小さいので1.0を示す赤線を入れてありませんが、各都道府県とも左端の29日から右端の416日に至るまでほぼ横一直線であることが理解されると思います。416日の時点で上のすべての都道府県が1.0+/-0.03の範囲に入ります。ここから近似式で予測したとしても、ほぼ横ばいの結果しかでないでしょう。

一方で先週にトピックスとしては、これまで感染者があまり多くなかった地方の県で、一日の新規感染者数が過去最高となった県が8つもあったという報道がありました。こうした地方の県の実効再生産数も同様に調べてみました。下の8県は、412日から14日で過去最高を記録した県で、いずれも大都市圏から遠く離れています。

この8県のうち、佐賀、長野、宮崎の416日の値が1.05を超えてはいるものの、すべての県が全体としては横一直線に見えると言ってもよいのではないかと思います。つまり都道府県別にみても、まだ感染急拡大の兆候のある都道府県はないということになります。

それでは初心に帰って、新規陽性者数と入院治療等を要するものの全国の推移を見てみましょう。

実効再生産数とは異なり、こちらの方はもう少し傾向が見て取れます。すなわち左の新規検査陽性者数においては、どうも322日を底として緩やかな上昇が始まっているように見えます。オレンジ色の線が7日間の移動平均です。右側の要入院治療等者は、実数ではなく毎日の増減を表していますが、325日を境に増加傾向にあるように見えます。

以上を総合的に判断すれば、現在はすでに緩やかな感染増加傾向に入っているが、感染急拡大の兆候はまだ認められないと解釈すべきかと思います。これは、しかし統計的、数学的な観点での見解です。すでに感染の中心は、BA.1 からBA.2に移行したことがゲノム解析で明らかになりました。XE株も国内で検出されました。現在年代別感染者では最も多い20代はじめ若年層の3回目ワクチンもなかなか進まないようです。新学期、新年度の開始、ゴールデンウイークと人流増加の要素も否定できません。

このままでは、政府は特段な対策はとらないようです。実効再生産数の動向に注視し、自分でできる対策をこれまで以上に徹底することをお勧めします。

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