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かんとこうブログ

2022.06.28

気象条件と電力消費量の関係について

先週末から気温が上昇して一挙に梅雨が明け、電力の供給不安が強く訴えられました。昨日来、電力需給ひっ迫注意報が出され、大規模店舗や官公庁において節電する様子が伝えられていました。この逼迫状況は、東日本大震災以降の原発の稼働停止に加え、火力発電所の老朽化とCO2対策による供給量の低下、さらには今春の地震による大型火力発電所の稼働停止などが要因として挙げられていますが、いずれにせよ電力需給がひっ迫摺る長い夏が、例年よりもずっと早く始まったことになります。今日は気象要因と電力需要の関係について、東京電力の最近8日間のデータをもとに調べたことをご紹介します。

まず実際の使用電力と供給能力の関係を示します。電力関係のデータは東京電力のサイトから引用しました。https://www.tepco.co.jp/forecast/html/download-j.html

一見して明らかなのは20日から23日までは余裕がありましたが、24日以降は供給能力と使用電力の差が小さくなっていることです。特に昨日の27日は、午前中に予備率が3%を下回りました。幸い午後のピーク時には大口需要者などで行われた節電対策のおかげで事なきを得たということだと思います。決して楽観は許さない状況であると思われます。

さて本題の気象条件と電力消費量の関係はどうなっているのでしょうか?代表として東京の気象データを使って比較してみることにします。東京電力のデータは関東全域なので、正確な比較はできませんが、傾向ぐらいはつかめると思います。温度・湿度と消費電力との関係を調べてみました。

データは気象庁のサイトから引用しました。1時間ごとの温度(横軸:℃)と電力使用量(縦軸:万KW)をプロットしています。

https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php?prec_no=44&block_no=47662&year=&month=&day=&view=

この8日間のデータからおおよそ2つのことが言えます。ひとつは、気温が上昇すると消費電力が増加するということです。もう一つは、休日と平日では温度と使用電力の関係が異なるということです。25日(土曜)と26日(日曜)については、平日とは異なり、1時間ごとのプロットがループ状に分布しています。これは同じ気温であっても、午前と午後では電力使用量が異なることを示しています。つまり、休日の午前中は人々の活動が低調であり電力使用量が少ないのです。平日の電力量についても若干はそうした傾向はありますが、休日に比べると差はわずかです。さらに休日の場合は全体的に電力使用量が低めであり、気温が35℃でも4500万KWに届きません。職場における電力消費が少ないからと推定されます。

一方平日の場合には4000万KWを超える温度が27-29℃とほぼ一定しており、35℃では5000万KWを超える数値になるようです。グラフ中に天候と雲の量を記しておきましたが、雨の場合は別として天候そのものはさほど大きな影響があるようには見えません。

次に湿度と電力の関係について示します。1時間ごとの湿度と電力使用量をプロットしています。(横軸が湿度:%、縦軸が電力使用量:万KW)

直近4日間のデータだけですが、予想外のデータでした。淡々と見れば湿度が高いほど使用電力量が少なくなるということになります。これは理論的におかしな現象ということになります。しかし、この理由は温度と湿度のデータを見れば明らかとなります。

各日ともプロットした点ほぼ直線上を移動しているだけの動き方です。つまり温度と湿度は負の傾きをもった一次式で表せる関係にあるということです。これでは湿度が高い時ば温度が下るので、結果的に電力使用量が減るということになります。ただしこの間、雨が降り続くような日はありませんでした。同じ温度で湿度の高低を比べれば結果は異なると思われますが、それは本日の趣旨からは外れますのでここでは扱いません。

最後に使用電力と供給能力のピークについて一言述べます。ニュース等で説明されているように、使用電力のピークと供給能力のピークが一致しません。理由は太陽光発電の寄与です。使用電力は午後から夕方にかけてであるのに対し、供給(発電)能力のピークは正午が基本です。27日の供給能力のグラフをみると、電力会社の苦労の跡が見て取れます。こうした努力を継続するのは、大変なことだと思います。どうか長い夏が無事に乗り切れますようにと祈ります。

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