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かんとこうブログ

2023.01.13

遺伝子組み換えウイルスXBB1.5について

アメリカでは、新たな変異株が優占種になりつつあるという報道を聞きました。一体どのような変異株なのでしょうか?報道では①免疫逃避性が高い、②感染力が強いとされていますが、定量的なデータはあるのでしょうか?今集められる範囲で調べてみました。

日本の報道ではアメリカからの情報が多かったのでとりあえず英語の情報だけ集めてみました。

一応書いてはみましたが、あまり定量的、本質的な情報がありませんでした。免疫逃避性が強いこと、ヒト受容体に取りつく能力が高いこと以外となると二価ブースターを接種することで入院リスクが減少するというくらいしか情報がありませんでした。二価ブースターとは日本で使用されているもので言えばオミクロン対応型ワクチンのように2種類のmRNAが入っているワクチンを指します。この場合のブースターは3回目以降の増幅接種を意味しています。

諦めかけて日本の情報を読んでいるととてもよい英語情報が見つかりました。目からうろこの話が書いてありました。

何と言っても驚いたのはこのXBB1.5遺伝子組み換え体であるということです。遺伝子組み換え体というと誰かが遺伝子操作して作り出したように聞こえますがそうではありません。ウイルスが自分自身をコピーする時には上図のように自分のコピーと隣の遺伝子のコピーを組み合わせてコピーするようです。これを「テンプレートスイッチ」日本語で言えば鋳型交換とでもいうのでしょうか?この「テンプレートスイッチ」においてすべて同じゲノムであれば同じものしかできませんが、異なるものが混じっていれば、異なるものが生じる可能性があります。これが組み換え体です。少なくとも2種類以上のウイルスに感染するとこの組み換え体が生じてしまうのです。

XBB1.5はXBB1の派生種であり、XBB1はBJ1株とBM1.1.1株の組み換え体としてインドで発見されています。それがまわりまわってアメリカで優占種となりつつあるのですが、XBB1からXBB1.5に変異する過程で、スパイクタンパクの486番目のアミノ酸が置き換わっています。VBB1ではフェニルアラニンからセリンに変化しているのですが、それがさらにプロリンに変化をしています。

専門家は、このアミノ酸置換により「ACEⅡ受容体との親和性を犠牲にせず、免疫逃避性が強化されている」のではないかと見ています。この486番目と言う場所は、ヒトの受容体との結合における重要な場所であり、かつ頻繁に変異が起こっている場所でもあります。XBB1.5の免疫逃避と感染力の強さ(ヒト受容体との親和性の強さ)の所以は、この486番目のアミノ酸の変異によるものと思われます。

変異において遺伝子組み換え変異という新しいジャンルがでてきたことでCOVID-19との闘いがさらに長期化するのではないかとの見方も示されていました。このXBB1.5についての水際対策をどうするのか?今のままでよいのか、強化すべきなのか政府の見解を聞きたいところです。

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