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かんとこうブログ

2023.03.22

前年同月比、数量と金額の乖離がさらに広がる 業況観測アンケート2月結果

一昨日日塗工から業況観測アンケート2023年2月分集計結果を受領しました。組合員の皆様にはすでに結果の概要をお送りしていますが、それに少し情報を加えてご紹介していきたいと思います。

まず各需要分野別の前年同月比の推移です。

2月の需要分野別前年同期比(金額)は、1月の結果に比べて、自動車が0.8ポイントダウンした以外はすべて1月よりもアップしました。ただし、木工はこのところの前年同月比100以下の状況を脱却できず4か月連続100未満が続いています。

また数量についてはこれも前年割れが4か月継続しており、前年同月比における金額と数量の乖離幅は1月よりも拡大する傾向にあります。(下図)

金額の前年同月比に目が行きがちですが、数量の減少は憂慮すべき状態にあります。日塗工の業況アンケートの図表をそのまま引用しますが、リーマンショック以降横ばいが続き、コロナでさらに落ち込んでいる状態から抜け出せずにいます。直近の12か月を見ても、12か月の移動平均は下がり続けています。(下図)

一方、金額面では需要分野別の前年同月比の推移が日塗工の業況観測アンケートに載っていますので下図はそれを引用しているのですが、果たしてコロナ前まで戻っているのかどうか、よくわからない状態が続いています。前年同月比というデータの宿命でもあるのですが、大きな増減が一旦おきるとかなりの期間それ以降の前年同月比に影響が出てしまいます。

いずれも2020年の大きな落ち込みと翌年のその反動による大きな反騰までは何とか辿れますが、それ以降となると果たしてコロナ禍以前にもどったのかどうかこれだけではなかなか判断できません。以前2014年の各月を100として、各年の同じ月の前年同月比をずっと掛け合わせていった数値を継続調査してみましたが、月ごとのバラツキが大きすぎて何がなにやらわからない結果でした。今度は2018年=100として同じ月の前年同月比を掛け合わせた数値を調べてみました。2023年2月の指数値の場合計算は次式のようになります。

2023年2月の指数=2019年2月の前年同月比X2020年2月の前年同月比X2021年2月の前年同月比X2022年2月の前年同月比X2023年2月の前年同月比/(100^4)

こうした計算した数値また月ごとのバラツキは結構あるものの、需要分野別にそれなりの数値になりました。1月と2月の例を下図に示します。

2019年10月の消費税導入により2020年の1月2月はかなり低調であり、同年3月以降はコロナ禍により低迷が続いている様子がわかります。そして2022年からは、原材料費高騰による製品値上げが始まり2023年は2018年に近い水準まで金額が回復してきたことが見て取れます。

2022年9月から2023年2月までの需要分野別の指数(2018年の各月=100)は以下のようになります。図中の数字は2023年2月の指数値を示しています。

月ごとのバラツキが結構ありますが、それでも需要分野別にはそれなりに差がついています。2018年に比べて比較的好調なのが船舶・構造物、逆に低調なのが木工です。あとは概ね100前後ですので、ほぼ2018年と同じ水準まで販売金額が回復してきていると思われます。

この2023年2月の指数値と単なる前年同月比を比較すると、建築外装で4.2ポイント、自動車で12.5ポイント、背の悪構造物で7.9ポイント、機械・電機・金属で4.8ポイント、木工で5.5ポイント、全体では5.3ポイント指数値の方が低くなっています。指数値にはコロナ禍における低迷の影響が累積で反映されているからです。

数量はなかなか回復せず、金額も製品価格が上がったがために前年同月を上回る状況が続いていますが、その金額の水準はコロナ禍前にやっと戻ったというレベルであり、全体としては依然として需要の減少が心配される状況であると思われます。

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