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かんとこうブログ

2023.05.17

G7参加国のエネルギー供給源・・IEAの統計からその2

昨日に引き続き、G7首脳会議参加国のエネルギー事情、とりわけ電力、燃料などすべてを含めたトータルエネルギーについての統計数字をご紹介します。データ引用元は昨日と同じIEA(国際エネルギー機関:下記リンク先)です。

Energy Statistics Data Browser – Data Tools - IEA

それでは順番に各国のトータルエネルギーのこれまでの推移についてみていくことにします。

昨日同様2020年までの5年毎のデータに最新値である2021年のデータを加えています。下から石炭、石油、天然ガスまでは同じですが、次が原子力、水力という順で少し昨日のデータとは順番が異なっています。昨日ご紹介した電力に暖房や調理、そして自動車などの輸送手段に使用されるエネルギーを加えてトータルエネルギーで見ると、電力以上に化石燃料の割合が高くなっています。電力にだけ目が行きがちですが、実はこうしたトータルエネルギーにおけるカーボンニュートラルはもっと大変な努力と技術革新が必要だということなのです。

国別にみると、日本はやはり東日本大震災の影響で化石燃料比率が高くなってしまっています。アメリカとドイツでは石炭こそ減っているものの石油、天然ガスはむしろ増加しています。

上記4か国も石炭は減少しているものの、石油、天然ガスは必ずしも減少傾向にあるとも言えない状況であり、トータルエネルギーとしてのカーボンニュートラルはまだ遠い道のりであることがわかります。

興味深いのは、フランスとカナダです。電力に限ればフランスは原子力、カナダは水力で過半数を賄っていました。しかし、トータルエネルギーとして見ると、フランスの原子力の割合に比べて、カナダの水力の割合はとても小さいことに気が付きます。これはトータルエネルギーに占める電力割合の差であると推定されます。すなわち、カナダの電力割合はフランスよりも低いと推定され、その理由としては冬の寒さが挙げられます。

次にトータルエネルギーの中で、化石燃料と再生可能エネルギーがどのように推移してきたかについて国別にグラフに示します。

日本は赤線で示していますが、昨日の電力同様化石燃料割合(左図)では、2010年から2015年にかけて特別な変化を見せています。化石燃料の割合は昨日の電力だけの場合に比べて全般に10~20%程度高くなっており、とりわけカナダは電力のみと比べて50%も高い割合になっています。再生可能エネルギー割合も電力のみと比べて低めに留まっており、トータルエネルギーにおけるカーボンニュートラル化の難しさを表しています。

日本は電力同様、トータルエネルギーにおいてもG7中最高の化石燃料割合、最低レベルの再生可能エネルギー割合でした。ただし、トータルエネルギーの削減という観点においては結構頑張っているとも言えます。(下図)

トータルエネルギーにおける化石燃料使用率、同削減率は東日本大震災の影響もあり、G7中で後塵を拝する位置にありますが、トータルエネルギー全体の削減には結構頑張っていると思います。

この2日間で見てきたなかで気になったことですが、電力における石炭の削減は世界の潮流となっています。ゼロエミッション石炭火力という日本の主張は果たして世界にうけいれらるのか心配になります。さらにトータルエネルギーにおける化石燃料の削減は、世界的に見ても電力ほどにはなかなか進んでいないようです。日本も東日本大震災という特殊要因があったとは言え、2050年カーボンニュートラルの約束は守らなければなりません。その道のりの険しさを今さらながら認識した次第です。

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