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かんとこうブログ

2023.06.15

改めてCO2排出量の算定事例を眺めてみると・・

昨日、一昨日にご紹介したデータはCO2排出量そのものではなく、あくまで排出量の内訳がどうなっているかということについて業種別に比較したものです。そうこうしているうちに、一体全体企業の売上金額と関係があるのだろうかと言う疑問が頭を持たげてきました。調べてみると意外なことがわかりましたので、今日は予定を変更して企業の売上金額とCO2排出量の関係について調べたことをご紹介します。データは昨日、一昨日と同じく環境省の下記サイトからの引用です。

取組事例 - グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省 (env.go.jp)

売上金額とCO2の間に関係があるのかないのか?業種別に見てきた限り、排出パターンはかなり違っていました。ですから、業種ごとにたくさん排出する業種としない業種があるのではないかと想像していました。しかし、排出量の絶対値と売上高の両方をちゃんと確認できる会社は、昨日一昨日の30社強から半減して16社となりました。その16社は以下に示す通りで、公開されている算定事例の年度の売上金額は決算短信で調べました。

会社名の横の年度は、引用した算定事例の年度です。これらの企業はいずれもScope3までの排出量の数値まで公開していることに敬意を表し、あえて優劣をつけることをせず、全体の傾向としてのみお話をしたいと思います。

まずはこの二つのグラフをご覧ください。左がScope1,2,3合計のCO2排出量と売上高についての企業ごとのグラフ、右は売上高(横軸:単位億円)とCO2排出量(縦軸:単位千トン)の散布図です。左のグラフの横軸の数値は会社毎のシリアル番号ですが、上表の順番とは無関係だということを申し上げておきます。すなわちどこの会社が多いのかということをこの番号からは推測できませんということです。

どうでしょうか?一見したところでは、この両者、なんだか相関性がありそうに見えます。つまり、企業の売上高が大きくなれば排出量も大きくなるという傾向があるように見えるのです。本当にそうした関係があるのかは、この程度のサンプル数で軽々に断じられません。現に、売上高1億円あたりのCO2排出量という数値を計算してみると企業間格差は非常に大きく、最高値は最低値の40倍近くにもなります。

にもかかわらず、最初に示した二つのグラフが示すように売上高とCO2の間に全く関係がないとは言えないように見えます。

このことは、いかなる企業であっても実際にモノやサービスを提供する限りにおいて、直接間接にCO2を排出している、いや排出せずには企業活動ができないということを示しているのではないでしょうか?従ってCO2排出削減というのは特定の電力会社や石油関連企業の問題ではなく、あらゆる企業が等しく取り組まねばならない問題であると認識しなければなりません。

翻って塗料と塗装に関して考えてみます。塗料・塗装業界は、製販装と言う言葉が示すように分業体制がはっきりしていました。しかし、ことCO2の排出問題については垣根はありません。なぜなら、Scope1,2,3トータルで考えれば3者のCO2排出量は同じになるからです。製販装、それぞれにScope1,2,3の割合は変化しますが、合計は同じです。どこかで削減できれば、それはこの三者すべてにとってサプライチェーン排出量が削減できることになるのです。

こうして書いていてももどかしいのは、塗料塗装に関するScope1,2,3の算定事例が公開されていないことです。そこで海外の事例を探してみました。その結果を明日ご紹介します。

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