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かんとこうブログ

2023.12.20

塗料原材料の単価動向・・10月度経産省確報より

12月14日に経産省の10月度確報(工業動態調査)が発表になりました。この調査結果のうち塗料については毎月確報としてご紹介していますが、この確報は全ての工業製品が対象ですので、塗料の原材料も工業製品である以上調査結果が発表されています。今月も塗料の原材料についての確報数値から単価指数動向をお知らせします。

塗料の原材料として選定しているのは、樹脂5種類、樹脂原料6種類、顔料6種類、溶剤6種類の23種です。10月の注目点としては、溶剤6品目中、二桁ダウンした品目が4品目あったことです。このうち3品目は先月二桁アップしていますので、文字通り乱高下です。一方で二桁アップした品目はトルエンとアクリル酸エステルでした。

原料の種類別に見ていくと樹脂は5品目中3品目がアップで2品目がダウンでした。樹脂原料は6品目中4品目がアップ、2品目がダウン、溶剤は6品目中2品目がアップで4品目がダウン、顔料は6品目中アップとダウンが3品目ずつという結果でした。全体的に因果関係を説明できそうにありませんので、個々の品目の動向を見てもらって判断していただくしかありません。

今月も原料の品目ごとに出荷数量と出荷金額のグラフをお見せします。最初は樹脂からです。読者の皆様は単価動向への関心が最も高いとは思いますが、単価は出荷金額と出荷数量から計算した数値ですので、データとしては、出荷数量と出荷金額の推移でご紹介します。グラフ中の数字は10月の単価指数と( )内は単価指数の前月比です。

樹脂において10月時点の単価指数が比較的高いものとしては、依然として石油樹脂、メラミン樹脂が挙げられます。9月からの推移をみるとすべての樹脂品目で数量と金額が連動して動いています。品目によってアップとダウンに分かれましたが、その変動幅は指数値で一桁で小幅なものになっています。

続いて樹脂原料です。

樹脂原料は樹脂に比べてナフサ価格の影響を迅速にうけます。6品目中4品目が前月比でアップしましたが、溶剤の動き方とは大きく異なっています。これらの中で10月の単価指数が比較的高いのは9月と同様にエチレングリコール、スチレンモノマー、アクリル酸エステルですが、数量と金額は連動して動いており数量・金額の乖離が拡大する傾向にはありません。むしろ気になるのは全般的に数量・金額とも右下がり傾向であることです。

続いて溶剤です。

溶剤では、イソプロピルアルコール、キシレン、合成ブタノール、メチルイソブチルケトンが前月比で二桁ダウンとなりました。このうちイソプロピルアルコール、キシレン、合成ブタノールは先月二桁アップしていましたので、その反動とも考えられます。なお、トルエン、キシレンはこのブログで取り上げた23品目中依然として最高の単価指数となっています。

最後に顔料です。

顔料では6品目中アップとダウンが3品目ずつと分かれましたが、変動幅はいずれの品目も小幅でした。顔料の単価指数は他の塗料原料よりも低めですが、この中で高いのはカーボンブラックと酸化チタンの2品目です。これはそれぞれの製造方法に起因しているものと思われます。

最後に全23品目の10月の単価指数を示します。単価指数が高い品目としては、やはり石油を主原料とする材料が並んでいるようです。

先月急上昇を見せたブタノールですが、今月は二桁ダウンしました。またメチルイソブチルケトン(MIBK)は、出荷数量金額とも大幅にダウンし、このため単価指数も二桁ダウンして価格指数が100となりました。23品目の単価指数の単純平均は前月から2.4ポイントダウンしましたが、これは溶剤のうち二桁ダウンした4品目の影響によるものと思われます。

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