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かんとこうブログ

2024.05.23

実質賃金の前年同月比24カ月連続マイナスとはどういうことなのか? その1

先般、実質賃金の前年同月比が24カ月マイナスと報じられました。しかもこの24カ月連続マイナスというのは史上最長であると説明されていました。今年の賃上げは大手企業を中心に満額回答が続出し、史上まれに見る高水準であったはずですが、物価の高騰はさらにそれを上回るということなのでしょうか?今日と明日の2日間はこの実質賃金のマイナスということをいろいろな側面から考えてみたいと思います。

まずこの実質賃金というのは厚生労働省の毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)(下記URL) の結果です。就労動態はじめ非常に多くの項目が調査されており、その中の一つが実質賃金です。実質賃金は名目賃金から物価変動分を差し引いたもので、前年同月比はその月の1年前と比べての指数値になります。また基準年が5年毎に代わっており、グラフ中の5年毎の縦線は基準年の交代を示しています。

www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1a.html

とりあえず最初はいつも代表数値として取り上げられる現金給与総額の実質賃金指数の前年同月比の推移からご覧ください。現金給与総額というのは、毎月の給与に加え賞与も含めた金額のことで、毎年6月、7月、12月の3か月は他の月よりも大きな額になっており、指数値も高くなっています。時系列データが提示されてはいますが、せいぜい14~15か月であり、それ以上のデータは自分で調べてつないでいかないと得ることができません。このグラフ(24年分を作るにはほぼほぼ1年毎のデータをつないだ表を作らねばなりませんでした。

もう一つの問題点は、前年同月比の連続では10年前,20年前と比べて増えているのか減っているのかわからないということです。それはさておき実質賃金のグラフを眺めてみると今回の24カ月よりも長期間にわたり前年同月比がマイナスの期間がありました。2013年から2016年にかけての安部政権時代の30か月です。どうしてこれがカウントされていないのか理由がわかりませんが、異次元の金融緩和で急激な円安となり、物価の高騰によって実質賃金が目減りしたと考えられます。こうやって眺めると前年同月比は、マイナスの月の方が多そうだとわかりました。

現金給与総額と同様なグラフを「きまって支給する給与」でも作成しました、「きまって支給する給与」とは特別手当を除く給与のことです。

結果はほぼ同様でしたが、こちらの方が落ち着いた感じです。これは定額給与であり、業績連動性が低いためと思われます。ここでも安部政権時代は実質賃金指数が長期間にわたりマイナスでした。また全般的にマイナスの月が多いということ確認できました。

となると今回仮に基準年とした2000年からみて、現在の「現金支給総額」と「きまって支給する給与」がどのくらいの水準になるのか気になります。一応この調査では年毎の指数値が書いてありましたので、それを頼りに2000年に対する指数値を計算して図にしました。いつも本ブログでやっている前年比を掛け合わせていくという方法です。上が名目賃金、下が実質賃金の指数値です。

2000年を100とした時の2023年の指数値は、名目賃金の「現金支給総額」で93.7,「きまって支給する給与」で94.6、実質賃金の「現金支給総額」で84.7,「きまって支給する給与」で86.6となりました。実質賃金としては2000年の85%程度しかないことがわかります。非常に重要な数値であるにもかかわらず、これらの数値が表にでることは少ないように思います。

と今日はここまでにしたいともいます。明日は名目賃金と実質賃金の関係、及び実質賃金が下がり続けている理由について考察したいと思います。

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