かんとこうブログ
2025.02.04
世界のTOP3メーカーの決算に見る需要分野別動向
1月末に世界の塗料メーカーTOP3が揃って2024年の第4四半期と2024年通年の決算を発表しました。これまでは、その決算内容を中心にご紹介してきましたが、今回は決算内容はさておき、まず需要分野別の動向についてご紹介したいと思います。(データ引用元は明日の記事に掲載します)
まずは2024年第4四半期の3社の需要分野別前年比を示します。
会社によりそれぞれ地域や分野で強弱がありますので、横並びでの比較は難しいため1社ずつ順番に見ていくことにします。緑色欄は前年比プラス、赤色欄は前年比マイナスです。DD,HSDなどの略号の内容は上図の最下段に表示してあります。
PPGは建築が不振、自動車新車・補修と工業用もマイナスでしたが、航空、路面標示、防食がプラスでした。Sherwin Williamsはペイント店G(アメリカの直営店ビジネス)はDIYのみマイナスで相変わらず強く、消費者Br-G(自社ブランド以外の建築)は地域差が大きく南米が二桁マイナス、EMEAが二けたプラスと分かれ、機能性塗料G(旧バルスパーの工業用)は、包装とPCMがプラス、自補修と一般工業がマイナスでした。AkzoNobelについては、建築は地域ごとに大きく差があり、南米、東南アジアはプラスですが、EMEAはマイナス、中国は二桁マイナスでした。建築以外では、船舶重防が二桁、粉体もわずかのプラスでしたが、自動車、工業はマイナスでした。
以上まとめると自動車用は新車、補修ともマイナス、一般工業もマイナス、船舶・防食、PCM,航空、路面標示、包装材料はプラス、建築は会社、地域によりプラスもマイナスもあったということになります。工業用の不振、特に先進国における不振はかなり深刻のようでしたが、2025年の見通しについてはどのように予測しているのでしょうか?これも3社並べて示します。
PPGとShewin Williamsはセグメント別の大まかな予測ですが、全体としてPPGは-LSD~+LSD、つまり小幅な減収~小幅な増収の範囲、Shewin Williamsは小幅な増収と予測しています。AkzoNobelも需要分野別予想もFLAT(横ばい)中心に分布しており、全体としては「よくても微増」となるようです。しかし自動車用が通年では水面上に顔を出しそうであるというのは明るい予想です。
こうした需要に関する情報は他にもありましたのでご紹介したいと思います。下図はPPGによる自動車、工業生産、航空機の需要予測です。いずれも2025年以降は生産が増加するとしています。残念ながら日本についての予想はありません。
またAkzoNobelは2021年からの3年間について四半期毎の価格と数量の推移についての推移をグラフ化していましたので、これも下図に示します。
前年比を年率に換算して図に書き込んでおきました。数値こそ違えど、この推移は日本の価格、数量の前年比の動きとよく似ていると思いました。ただし、AkzoNobelの2024年は数量がほぼ前年並みであるのに対し、日本ではまだ数量の減少が継続している点は異なりますが・・。
多少なりとも塗料に関わる方々の参考になればと思います。明日はTOP3社の決算についてご紹介します。
コメント
住所
東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー39階』って出てきたんですけど、ブログの解説は『ガーデンプレイス37階 LUIS GARDENより東京タワー、六本木ヒルズ方面を望む 2024年12月 大塗協、関塗工交流会の夜に』って、37階になっていますけど、どちらが正しいんでしょう?
- 2025.02.04 17:14
- 中田 明夫