かんとこうブログ
2026.07.01
5月の経産省速報から5月の塗料サプライチェーンを辿る
6月30日に経産省から生産動態統計調査と石油統計の速報が発表になりました。今日はその数値を使用して、塗料のサプライチェーンを辿り5月の状況を振り返ってみたいと思います。
最初はナフサの需給動向からです。2025年1月~2026年5月までのナフサの需給動向一覧表を示します。

青字の3カ月がホルムズ海峡封鎖後の3カ月です。3月4月は明らかに国内生産、輸入とも数量が落ち込みましたが、5月はかなり回復してきました。それでも5月のナフサ供給量は前年同月比で86.5%対前年平均比で86.0%、国内販売量は前年同月比で81.2%、前年平均比で77.9%とまだ平年並みとは言えない数値でした。

上左図からは、ナフサの供給量は国内販売量に等しいことが、ナフサの供給のうち国内生産はほぼ一定であるが、輸入は今年に入り数量が低下していたことがわかります。
こうしたナフサの需給状況を反映して石油基礎化学品も今年に入ってからは数量が減少傾向にありました。3~5月の生産、出荷、在庫数量の前年同月比(下の表)と2015年1月~2026年5月の生産、出荷、在庫数量の推移(その下のグラフ)を示します。いずれも2026年に入生産、出荷数量が低下していることは明らかです。一方在庫数量はほぼ一定の数値を継続しています。

ここまでナフサ、基礎化学品を見てきましたが、今年に入って以降は低調気味の数値が並んでいることがわかりました。今回の発表は速報値であり、速報で見ることができる塗料原料は多くはありません。塗料原料の需給については確報発表時に行いたいと思います。
最後は塗料です。主要塗料の3月~5月の生産、出荷、在庫数量の前年同月比の一覧表です。3月4月はほぼ全面的に前年同月越えでしたが、5月は少し様子が異なります。前年を下回ったものも何品目か出てきました。全体としては生産数量も出荷数量も前年同月を上回りましたが、実際にはこの数値以上に頑張って出荷したという見方もあります。それは去年と今年の5月の休日日数が違うのではという指摘です。もともと5月は連休のため塗料の生産数量は他の月に比べて少ない量になります。淡々と土日祝日を数えると今年は去年より休日が2日多くなります。単純計算ですとこれだけ違うとおおよそ10%は少なくなる計算です。
一方在庫については3月4月と減少してきましたが、5月の在庫は4月とほとんど変わっておらず、在庫の切り崩しは一応歯止めがかかったようです。主要塗料品目の生産、出荷、在庫数量の推移を示します。

各図とも中央に大きな谷がありますが、これは去年の8月です。例年8月は夏休みのため生産、出荷数量が大きく減少します。5月、1月も8月ほどではありませんが、例年出荷が減少するの通例です。
ここまでナフサ、石油基礎原料、塗料とサプライチェーンに沿って3月から5月と受給状況をみてきました。ナフサ、基礎化学品は、まだ通常と言えるレベルにまで供給が回復していないようですが、塗料は依然として前年並みまたはそれ以上の数量を供給してきたことがわかりました。
政府が開始した新しい溶剤の供給ルーと開発や、アスクルを使ったシンナーの特例緊急供給システムが奏功し、塗料不足問題が一掃されるよう期待しています。