かんとこうブログ
2020.04.09
「塗料からのVOC排出実態推計のまとめ」について思うこと
今朝は緊急事態宣言が出されて2日目の朝でしたが、恵比寿の駅から塗料会館までの道は閑散としていて、通常の7割~8割減という感じでした。ここ塗料会館も人間の数が半分くらいしかおらずひっそりとしています。これ以上の感染拡大は、なんとか食い止めなければなりません。そのためには、一にも二にも人的接触の激減を目指さなければなりません。
ところで、今日の話題は昨日、日本塗料工業会から受け取った「2018年度塗料からのVOC排出実態推計のまとめ」についてです。この内容はすでに一部メディアで報じられているようですが、いずれにせよ著作権は日塗工にありますので、内容の紹介ではなく、この統計数字を見て感じたことを書きます。
下の図は塗料からのVOC排出量の推移を表しています。2000年の53万5千トンから減少の一途を辿り、2018年度は24万2千トンまで減少しました。この10年あまり、なかなか排出量が減らずに停滞しているような感じがありましたが、また少し動き出したようにも感じられます。
一方で他の産業分野から排出されるVOCはどうなのでしょうか?日本全体でのVOC排出量の推移を下の図に示します。ここで注目していただきたいのは、①全分野の中で塗料からの排出がずっと一番多いということ ②全体量にしめる塗料から排出割合は、この間ほとんど変化せず、4割弱を保持し続けていること です。これらはよく知られている事実ではありますが、もちろん業界として名誉なことではありません。
塗料メーカーとしては、VOC削減のための塗料を開発し続けてきてはいるものの、VOC削減型塗料への変更は、さまざまな壁に跳ね返され、供給者側の努力だけでは限界があると感じている方もおられるかと思います。ダイナミックに塗料からのVOC削減を推進するためには、もっと厳しい法規制が必要と感じていらっしゃるかもしれません。事実私も最近までそう思っていました。果たして法規制に頼って物事を進めてよいのかどうか?
しかし、これまで日本は、こうした日本特有の緩やかな規制と業界の自主努力によってさまざまな課題を克服してきました。強制ではなく、比較的自由な環境で自主的な活動で解決できればそれに越したことはないように思います。今般の新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言と拡大防止策、経済対策については、諸外国から手厳しい批判をうけていますが、これを跳ね返せるかどうか? 一人ひとりの自覚にかかっているという点では、VOCの問題も似たようなところがあるのではないかと思っています。