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かんとこうブログ

2020.10.28

温暖化ガス排出削減に関する「日本の約束」とは?

昨日、菅首相の2050年にCO2排出量実質ゼロ表明について書きましたところ、普段より多くのアクセスをいただきました。今日は現時点で日本が世界に約束している削減計画についてご紹介しようと思います。

ネットで検索したところ、どうやら平成27年に設定された「日本の約束草案」というのがあり、副題で「2020年以降の新たな温室効果ガス排出削減目標」と書いてあり、さらに「平成27年7月17日に地球温暖化対策本部を行い、「日本の約束草案」として決定いたしました。なお、決定した「日本の約束草案」は、同日中に外務省から国連気候変動枠組条約事務局に提出いたしました。」との説明が環境省のホームページで見つかりました。現在もこの「約束草案」が掲載されているということは、これが正式な「日本の約束」だと思われますので、この内容をご紹介することにします。

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/2020.html 「日本の約束草案」

この約束草案の概要は、「2020年以降の温暖化ガス排出量削減のための実現可能な目標として、2030年度に2013年度比▲26.0%(2005年度比▲25.4%)の水準(約10億4,200万t-CO2)に定めた」ということです。つまり2030年までは、この目標を達成するために様々な取り組みを進めますが、その先は決まっていませんということのようです。それでは、中身を見ていくことにしましょう。


この図は温暖化ガス全体の排出量の基準値と目標値を表しています。2030年には基準年度のおおよそ3/4にしようというのが全体構想です。次にこの内訳を見ていきますが、この中で大半を占めるのがエネルギー起源のCO2です。実は後述するように、CO2以外の温暖化ガスも無視できない量排出されているのですが、それはすべてCO2に換算された数値となって目標に組み込まれているのです。それはともかく、エネルギー起源のCO2目標とその内訳は以下のようになります。

温暖化ガス全体に対し、エネルギー起源のCO2は約9割を占めています。その9割のうち、最も多いのが産業部門でついで業務その他部門、運輸部門、家庭部門、となっていますが、これは発電に使用されるエネルギーを最終的に消費する部門に割り当てた数字になります。産業部門の削減の目標が他と比べてやや低いように見えますが、それでも各部門ともまんべんなく削減していこうという計画になっています。

エネルギー起源のCO2以外にはどんなものがあるのでしょうか?その内訳を示したのが下図です。

非エネルギー起源のCO2とはごみの焼却から発生するものなどを指します。メタンや一酸化二窒素(N2O)は農業土壌などからの発酵によるもの、HFCはフロンガスをそれぞれ意味します。実はエネルギー起源のCO2以外に、こうしたガスもCO2換算で全体の1割ほど発生しており、削減対策の対象となっているのです。

それでは具体的に各部門に対し、どのような対策を想定して目標を定めてきたのでしょうか?

これは同じ環境省のホームページにある「国が決定する貢献」という書類の要約です。塗料およびその従事者に関係の深そうなところだけ書き出してみました。

まず産業部門の中に化学工業という欄に書いてあることは、つまるところ省エネがほとんどです。ただし化学ならではの削減方策もあります。バイオ技術の利用CO2を化学製品の原料として利用することです。これはほかの産業ではできないことです。CO2を原料として利用することは容易ではないと思いますが、今後の実用化を期待したいものです。。

家庭部門ではこれも省エネのオンパレードです。過程では積極的にCO2を利用できる機会はないと思いますのでいたしかたないところです。運輸部門でも主役はやはり省エネと脱化石燃料化になります。

エネルギー転換部門では、なんといっても再生可能エネルギーへの転換です。この意味は直接の排出量では、このエネルギー転換部門が全エネルギー起源CO2排出量の約4割を占めることを考えれば理解されると思います。

こうしてみていくと、2030年の目標達成、さらには2050年の排出量実質ゼロを目指すためには、徹底した省エネとそれを実現する技術革新、および再生可能エネルギーへの抜本的転換が必要であることがわかります。将来は人口が減少していくので、若干の自然減は見込めるというのは楽観にすぎます。2050年時点で想定される人口はまだ1億人を超えており現在の8割程度までしか減少していないからです。

https://graphtochart.com/population/japan-transition.php 

2050年へのロードマップはこれから策定されていくことになるのでしょうが、叡智を結集し、実現可能な方策が設定されることを心より期待します。

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