かんとこうブログ
2020.10.27
2050 年に CO2 排出量実質ゼロが表明されました
昨昨日、菅総理の所信表明演説でCO2の排出量を2050年に実質ゼロにするとの表明がありました。これまでは、2050年には80%削減であったものをヨーロッパの目標と同じ水準まで引き上げたことになります。先日中国が2060年に実質ゼロの目標を打ちだしたところでもあり、この表明がCO2排出量削減にむけて世界が動いていくきっかけになればよいと思っています。
ただこの目標は大変にハードルが高い目標です。先日、2020年上期の発電における再生可能エネルギーの割合が23.1%であり、政府の2030年の目標値である22-24%の範囲に入ったことを紹介しましたが、昨日のニュースでは、2050年に実質ゼロにするためには、2030年での再生可能エネルギー割合の目標値は40%程度でなければならないとの専門家のコメントが紹介されていました。今年はコロナ禍で電力需要が落ち込んだことが大きな要因となって再生可能エネルギーの割合が増加したのであり、昨年が18.6%であったことを考えれば、2030年の40%は、大変高い目標であると言えます。
今日は日本のCO2排出量の内訳の現状と発電についてのもう少し細かい内訳をご紹介します。
https://www.jccca.org/chart/chart04_04.html
2018年と少し古いデータで恐縮ですが、これが日本のCO2直接排出量の内訳です。直接排出量とは、直接排出量は、発電に伴う排出量をエネルギー転換部門から排出として計算したものです。従って電力消費に伴うCO2排出はすべてエネルギー転換部門からの排出とカウントされるのですが、それでも排出量の60%は電力以外です。2050年に実質ゼロにするためには、電力以外のところでも大幅な削減を進めていかねばなりません。次に間接排出量をご紹介します。
https://www.jccca.org/chart/chart04_04.html
間接排出量は、電気事業者の発電に伴う排出量を、電力消費量に応じて最終需要部門に配分した後の値です。こうなると直接排出量とは異なりエネルギー転換部門の割合が小さくなり経済活動や我々の生活そのものの割合が増加します。運輸部門は、自動車や航空機、船舶、鉄道などから排出されるCO2です。
昨日のニュースによれば、実質セロとは、排出したCO2を利用したり、地下に封じ込めたり(貯留)して、差し引きゼロことを意味するようですが、いずれにしても化石燃料は大幅に削減する必要があります。
最後に日本の発電の現在の詳細内訳をご紹介します。2020年上期が最新データであるのですが、前述したように電力需要が少なかったという事情がありますので2019年のデータを示します。
DATA SORCE IEA REPORT
2019年における再生可能発電の割合は18.6%です。そして小泉環境大臣が国連で指摘を受けた石炭火力の割合が3割を超えています。ようやく旧式の石炭火力は廃止方向が決まったようですが、それにしても大転換が必要になります。
こうしたCO2削減にむけて塗料で直接的に何ができるかと言えば、まず一番に名前があがるのが高日射反射率塗料ですが、今のままでは冬季におけるマイナス効果のため、年間を通して省エネに大きく貢献できる地域や用途が限定されています。夏季における電力需要ピークの平準化には間違いなく貢献できるのですが、四季を通して省エネに貢献できる新しいタイプの塗料の開発を期待したくなります。