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かんとこうブログ

2020.10.21

「貧乏国ニッポン」の衝撃・・少しだけ補足

 

実のところ、本日は日塗工の業況観測アンケートを載せる予定でしたが、集計がまだ出ていないようなので、昨日の「貧乏国ニッポン」について、少しだけ補足させてもらいます。

それは、「日本の経済を決めるのは政府の方針ではなく、企業の活動と消費者の行動である」との指摘でしたが、では具体的にはどうすべきなのかということについてです。あまり本の中身を書いてしまうと、ネタバラシとなり本の売上に影響しても困りますので、そうならない範囲で引用させてもらいます。

昨日引用した一節は「日本にとって最強の経済対策とは」という節に書かれていますが、この節は、「日本の強みをどう生かすべきか?」という章の中にあります。この章に並ぶ節の表題はかなり過激です。要旨をともに下表に示します。


「サラリーマン社長を一掃すべき」など、現在必死でコロナと闘っている世の中の社長さんたちが聞いたらきっと怒り出すと思いますが、本書によれば、自社の成長に自信があると回答する日本の社長さんの割合は、世界平均よりも大幅に低い数字であることから、経営環境の改善が必要と主張しているのです。

こうした節のあとに、最後に「日本にとって最強の経済対策とは」という節があり、昨日引用した内容が書かれていたのです。昨日引用した内容に続くのは以下の文章です。これも引用します。

あえて政策という点に的を絞るなら、コーポレートガバナンス改革に代表されるような、有能な人物をトップに据えるためのメカニズムを強化する施策が重要です。消費者向けについては、個人消費の拡大を阻んでいる将来不安を一掃するための施策が必要となるでしょう。将来不安の最たるものは公的年金と考えられますから、年金制度の将来像について政府は明確な道筋を示す必要がありますし、これこそが最大の経済政策でもあるのです。

日本の公的年金制度が財政的に厳しい状況にあることは誰でも理解しており、ここで100年安心といったキーワードを並べても何の解決策にもなりません。本当のところ年金財政はどの程度、悪化しており、年金の減額がいくらになる見通しなのか、悪い情報も含めてすべて開示しなければ、本当の意味での安心感にはつながらないでしょう。こうした環境が整えば、仮に現状は悪くても、人は消費を増やすものであり、これが最終的に経済を動かす原動力になります。

このような主張をすると、必ずと言ってよいほど返ってくるのが、「中身がない」「何も言っていないのと同じ」といった、批判のための批判です。しかしながらあえて厳し言い方をさせてもらうと、何かひとつの方策ですべてが解決するといった魔法ののような解答を求めること自体、一種の「甘え」であり、こうした日本人の甘えた感覚こそが日本経済を低迷させる原因になっていると筆者は考えます。

最強の経済政策について、随分長く引用させてもらいましたが、皆さんはどのように感じられたでしょうか?

本書:「貧乏国ニッポン」ますます転落する国でどう生きるか 

加谷珪一 幻灯舎新書 第三刷

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